山茶花究



 きっかけは、「山茶花究」だった。
 昔の俳優さんなんですが、「さざんかきゅう」と読みます。

 そう、「3×3=9」。
 この名前を知ったとき、思わず「ヘナッ」っと力抜けました。森繁久彌の映画か、川島雄三の『女は二度生まれる』か、何でこの人を知ったか思い出せないが……なんとまあ、体を張ったギャグでしょう。
 芸能人で名前といえば看板も一緒。平成の御世でさえ、姓名判断に大枚を払う一部芸能人だっているというのに……こんなフザけた名前をつけちゃうなんて!
 今すぐタイムマシンで会いにいって
「どうしてこの名前にしたんですか?」
 と訊きたくなる。
「シャレよ、シャレ」
「別に。思いつき」
 サクッと、そう言ってくれそうなんだこの人。「さざんが」を花の「山茶花」にしちゃうところが、華もあっていいじゃないか。
 昔の人って、こーいう素敵にハイな名前、けっこう多いのですよ。こういういにしえの「フザけちゃった名前」が、近頃ミョーに気になっている。

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