銀座百点4月号


 新しくなった東横のれん街で「銀座百点」4月号を頂いてきました。
 冒頭に演劇評論家矢野誠一、水落潔、扇田昭彦、三氏の鼎談が。テーマは「これからの銀座と演劇」で、扇田さんの「演劇は制限があればあるほど表現としては強くなる」という発言が印象的だった。「演劇の自由さ」ってのはこのことを極限まで知ってる人こそが表現できるんだと思う。

 水落潔さんの「歌舞伎座と歌舞伎をささえているのは銀座という街」という言葉、これもその通りだと思う。何かを「観た」後で何ができるか、どんなことを体感できるかが、街の発展のキーポイントだよね。そこが成り立ってるのは他に神保町かなあ。鑑賞するものと食と街の関係性。
 扇田昭彦さんが下北沢に劇場を作った本多一夫さんのことについても述べられているけど、あの街で小劇場に入って、観終わって、さて居酒屋で話そう…ってコース、考えただけでもワクワクするものね、ある種の人々にとっては。芝居する側もそうだと思う。
 
 個人的な思いだけど、これ以上銀座は「おとなが思い出話をさりげなく披露してくれる場所」をなくさないでほしい。ちょっと分かりにくいねこのいい方。
 ある洋食店を取材してたんですね、以前。もうすごい老舗。そこのレジにあった鉛筆削りが目に留まったんです。本当に普通の鉛筆削りなんだけど、ふと「いまも鉛筆でらっしゃいますか」そう尋ねたらご主人の奥様が、
「これ、高峰秀子さんが下さったんですよ」
 と、何気なく仰った。「歴史と身近になれる場所」というのが、あの街のいいところなんだと私は思っている。

○一日一句

4/4

 帰り道 星を探せば 花水木

 春闌けて嬉しき馳走のコールスロー

※「闌(た)く」…闌(たけなわ)という漢字を初めて知りました。「春深し」と同義の季語なんだそうです


4/5

 のれそれとそうはいかぬぞ二合まで

4/6

 春の雷 夢であったか澄みし朝

※この日は嵐、雨もすごくて神田川・目黒川が氾濫危険水域になり、杉並では警報が発令されたそうです。おおごとには至らなかったよう。

4/7

 独活の香や 我が誕生日を 思い出し

短歌もひとつ。

 草萌ゆる 卯月初めの 日曜日 手帳に残りし「花見」の文字かな