「ぼんち」「徹子」「障害者向けデリヘル」……最近の見聞録

あったかいですね、それだけでこうも幸せな気分になれるとは。
昨日に引き続き久々東京地方は10℃を越すようで、嬉しい限り。
現在も雪害に悩まされている方々が多いので不謹慎かもしれませんが、
太陽のありがたさ、痛感します。


と、太陽が珍しく2日も暖かく輝いてくれたからか
啓蟄」がちょっと早く私にやって来たようです。ここのところ
「本を読みたい、映画を観たい!」てな欲求の虫がムズムズ活動を開始。
正月からこちら見聞き・考えたことをメモがてらザッと列記。
今日長いです。いつものバカハクオーお好きな方は最後の
「今日の一食」まで飛んでください。駄文で長いなんて最低ですね。反省。


●「ぼんち」山崎豊子


ぼんち (新潮文庫)

ぼんち (新潮文庫)


昨年ヒットしたTVドラマ「女系家族」から
にわかに沸き起こったマイ・山崎豊子ブーム。
私はこの方「白い巨塔」「華麗なる一族」などの
社会派というイメージしか持ってませんでしたがまったく迂闊でした、
大阪生まれの彼女は、豪商たちが活躍していた
古き良き時代の「船場」文化に通じていた人なのですね、
「暖簾」「しぶちん」などいずれも読み応え鮮やかな名作だが
極めつけの作品はこれだと思う。大阪、それもしきたりと因習が強く存在していた、
「戦前の船場」という特殊な環境における、これはひとつの「源氏物語」だと思った。
「女(おなご)というもんは、相手次第で、言葉の貫目が違(ちご)うて来ます」
というくだりに、私は総てが集約されているような気がした。
市川崑による映画(1960)も、
この時代独特の美しい大阪弁と風習を垣間見るのには最適。
主人公のぼんち(市川雷蔵が好演!)対する解釈には疑問ありだが。

ぼんち [DVD]

ぼんち [DVD]



●京都・三条「石黒香舗のにほひ袋」(新宿・伊勢丹にて)




創業は1855年という京都の老舗が現在伊勢丹6Fで出店中。
たくさんある色布れから好みのものを選び、その場で和服に身を包んだ女性が
手早く10種類からなる香木の欠片を詰め、縫製してくれる。
香袋の可愛らしさはもちろんだが、その見事な手さばきを見たさに買ってしまった。
うーんもうこれだけで伝統芸能。あっという間に小さな絹布が
ほのかに白檀の匂う巾着に。はー見事。たすきがけのこしらえも今や新鮮。
17日まで。写真のもので630円(箱代込)とお手頃。


有限会社 石黒香舗■ 〒604-8111 京都市中京区三条通柳馬場西入
■ TEL 075-221-1781■ FAX 075-221-8091 http://ishiguro-kouho.com/top.html


●「ミラクルフルーツ」



知ってましたこの果物。
不思議なことに食べると「酸味」が「甘味」に変わる不思議なフルーツ。
食べるとレモンなどが甘く思えるのだそう。はぁ……神様の考えることはわかりませんね。
効き目は2時間程度。現在この特性を利用して、ミラクルフルーツを食べてから
すっぱ目のスイーツを食べて甘味を堪能しつつダイエットにもなる、
というのが一部で流行っているとか。「そこまでして……」という気にもなりますが、
一度は試してみたいものです。


●「私は障害者向けのデリヘル嬢」 大森みゆき:著(ブックマン社)


私は障害者向けのデリヘル嬢

私は障害者向けのデリヘル嬢


これを読んで思ったことは、障害者の性の問題というよりも、
「なぜ人は『性商売』を咄嗟にさげすんでしまうのだろう」ということだった。
この本を読めば読むほど、障害者の性問題は、とても排除されてきた切実な問題で、
そのことを否定する人は殆んどいないだろうと思う。
「法律で売春は禁止されているじゃない」という意見を言う「まっとうで幼稚」な人は
この際置いておく。私が読み終えてずっと考えてるのは、
セックス・ビジネスはあくまでも「裏商売」としてしか
成立しないものだろうか。公には認めてはいけないものなのだろうか。
なぜ、人間の多くはセックス・ビジネスに
対して反射的に「眉をひそめてしまう」生き物なのだろうか、ということだ。
実際、私はそういう人間だ。なぜなのか。


すごく無粋に乱暴に書くと、こんなことを考えた。
・日本国在住のAさんは重度の障害があり、介護なしでは生きていけない。
・Aさんには健常者同等、基本的人権があり、国の福祉によって住居と食料を与えられる。
・基本的欲求のうち食欲と睡眠欲は満たされている。しかし性的欲求は満たされない。
・日本国民はすべて幸福追求の基本的人権を有する。
 故に国はAさんの性的欲求も満たしてしかるべきである。
・となると、障害者専門の性的ビジネス・ボランティアを開設する必要がある。
こんな展開は荒唐無稽なのだろうか。クレイジーか。わからない。
まだ答えを模索中だ。いつか私なりの答えを突き止めてみせる。


●「トットちゃんの万華鏡 評伝 黒柳徹子」北川登園:著(白水社


トットちゃんの万華鏡 ?評伝 黒柳徹子?

トットちゃんの万華鏡 ?評伝 黒柳徹子?


黒柳徹子の不幸は本人が面白すぎるところにあると思う。
この人が女優をやっても、観客の多くは「徹子らしさ」、
それだけを求めてやってくると言っても過言ではないのではないか。
もちろんそれは「TVパーソナリティ」としては
唯一無二の面白さで光り輝いているわけなのだけど。この本も同様だ。
いくら彼女の人生の沿革をなぞっていっても、
彼女自身のユニークな人生が他人の筆では生き生きとしてこない。
この、TV史上稀に見る強烈なキャラクターは、知らず知らずのうちに
国民の多くに「何かしでかしてくれる」というほのかな期待を抱かせている。
「徹子なら面白いに違いない」と無意識に(ほぼ)みんなが思っている時点で
他人が「徹子ビジネス」に手を出すのは危険だと再認識した作品。
またそれは、作者の「徹子ハレルヤ」な姿勢にも問題があると思う。
というか「評伝」などと付けなければよかったのに。「評」とする以上彼女の
問題点や人生の「暗」の部分に迫らなければ成り立たないだろう。
最後にちょっとほめると、彼女の演劇歴を知る上では大変な良著。あら嫌味かも。


はなまるマーケット(TBS系列)
昨日の「はなまるカフェ」のゲストは女優の八千草薫だった。
可憐でノーブルなキャラクターが身上の彼女、
プライベート・フォトで映されたご亭主の映画監督・谷口千吉氏が
お元気であるということを知って大変驚いた。
http://movie.goo.ne.jp/cast/104890/index.html
一番有名な作品は「暁の脱走」ではないだろうか。
山口淑子池部良主演。どういうわけか70年代からほっとんど
メガホンを取ってらっしゃらない。
その訳も特に取りざたされることもなく
私には謎めいた人物にうつっていたのだが……。
現在、93歳。キャメラから離れた理由はいつか語られるのだろうか。


●今日の一食
四谷「泰祥製菓の月餅」
http://www.wagashi.or.jp/tokyo/shop/0708.htm



「月餅なんてダサーイ」「まずーい」なんてイメージお持ちじゃないでしょうか。
実際私はそうでした。「月餅」と聞いて思い出すのは昔ビートたけし
大橋巨泉なんて月餅みてえな顔しやがって」というギャグだけ。
好んで食べようなんてモンじゃなかろうと思ってました。
しかし……ここの店のたたずまいからは「おぬし……できる」感がプンプンと。
私、自慢じゃないけどこういう勘だけは滅多にはずれないのです。
意を決して買ってみましたが、うおおッ!
月餅のイメージをくつがえす美味しさ……。「な、なんなのこれ!」
「これが月餅っていうなら今まで私が食べたのはなんだったのッ!?」
名作漫画「美味しんぼ」ならこんなワザとらしいセリフが
東西新聞社のデスクから仕事中なのに飛び交うことでしょう。
でもホント周りの皮は「パイ生地かぁッ!」てなほどサクサクで最高。
餡は元々嫌いな人でも食べられるぐらい、あっさり、軽やかで
舌の上でフウッと溶けていきます。和菓子みたい。これでひとつ160円は安い!
これからお土産の定番メニューに入れたくなるような、そんな味でした。


●お知らせ
ブログランキングに登録。
よかったらクリック↓お願いします。
http://blog.with2.net/link.php?198815