「梅ちゃんの青い追悼会」

この後王子様のキスで目覚めます

●「梅ちゃんの青い追悼会」
(新宿・シアターアプルにて)

みなさんは籠一杯に入った100枚ぐらいのを「するめ」を、
頭から浴びせかけられたことはありますか? 私はあります。
ええ、この梅垣義明ライブでそんな素敵な体験をしてきましたとも。
体の隅々に入った「するめのかけら」にむずがゆさを覚えながら、
考えたことをつらつらと。

 19時に始まってから終了までなんと3時間半、梅垣義明という人は
会場のシアターアプル内を駆けずり回って、隅々にまでその「芸」をふりまいていた。
単純に「笑わされっぱなしでした」「サービス精神満点のステージに大満足!」という
感想でまとめるのは簡単だし、その意見はまったくもって正しいのだけど、
そんな凡庸な評で収まりきらない何かが確かにこの舞台にはあった。それってなんだろう。


 ご存知人気ネタの「鼻からピーナツ」や、股間からホースで水をまいたり、
全て海産物で出来たドレスに身を包み、会場内をグルタミン酸ナトリウムたっぷりの
イカ臭い小屋に変貌させたりなどなど、インパクトや奇抜さタップリの外見だけで、
「面白かったーっ!」「ビックリしたーッ!!」と満足してしまう人もあるかもしれない。
しかし、私が今回のライブで感動してしまったのは次のようなことだ。


 梅垣義明という人は、舞台だけが持つ「非日常へのテレポーテーション体験」
というものを、ひたすら一心に観客の間に起こそうとしていたんだなあ、と
しみじみ思ったのだ。
 私は「舞台」というところは、「こんなの初めて!」という感動の
起こったときが最高の瞬間だと思っている。こんなに美しい踊り初めて! 
こんなに哀しい物語初めて! こんなに笑ったの初めて! などなど、
人生での「初体験」を生み出し、その人の人生や感性に大きな影響を与えることの
できる不思議な場所なのだ。そんな一瞬を生み出そうと、柳の木に飛びつかんと
地面から精一杯はねる蛙のごとく、何回も彼は無心にジャンプしているように見えた。
(話はそれるが、その『無心』さを生み出すのが『練習』であり
『稽古』なんだと思う。それが足りない舞台ほどいやらしく、あさましいものはない)
 そのパフォーマーとしての「イノセントな挑戦」に、私は圧倒されていたんだと思う。
単なる女装やゲイバーのショータイムと、全くもって一線を画すのは
その「こころざし」の違いだと思った。


 と、小難しいことを書き連ねましたが、間違いなく大笑いできるライブです。
腹筋いたい。お腹いっぱい。満漢全席のような笑撃のひとときが体験できます。
ただちょっと時々スリリングなだけで(笑)。また春に東京青年館でライブが
あるそうなので、興味のある方はぜひ観てほしいですね。
 ひとつだけ、言ってもしょうがない願いを言うと……彼のライブを、今は亡き渋谷の
「ジャンジャン」で観たかったなあ! あの狭さ、何が起こってもおかしくない
妖しい雰囲気、観客の密着感の中であの芸はさぞかし光り輝いたことだろう。
はい、叶わぬ夢です。
http://wahahahompo.co.jp/


●今日の一食
京都「東華菜館の餃子」


   
 

京都四条にある中華料理店です。鴨川沿いにあって南座を見下ろす
古い建物は見覚えのある方も多いのではないでしょうか。
今回調べたらとっても有名な人のようで、「W・M・ヴォーリズ」という、
元々宣教師として明治末期に来日した方の手によるものだそうです。
他に東京の山の上ホテルや、大阪・心斎橋の大丸など有名な作品がちらほらと。
内装も素敵に古めかしく、手動式のエレベーターは雰囲気充分。
もっちりした厚い皮に、白菜たっぷりのあっさりとした肉餡が包まれて、
美味しい餃子でした。黒酢と香草をからめて食べるのが私流。
仕事で大阪に来ていたのですが、トンボ帰りが悲しくて、つい降りてしまった
4時間だけの京都滞在。今度はゆっくり来たいものです。


●お知らせ
ブログランキングに登録。
1日1クリック↓プリーズ!
http://blog.with2.net/link.php?198815


●追記
最近バタバタでネタにしたいことはいっぱいあるのに
ちっとも書けずに日にちが経っていくのが悲しい。雑記というか
のちのネタ帳的にここに列記。


1:1月22日の芸術劇場
「ピョートル・アンデルジェフスキ ピアノ・リサイタル」
イギリス組曲第6番ニ短調BWV811(バッハ)


素晴らしいバッハだったと思う。非常に理性的に、しっかり構成されて
メリハリもつけながら、感情の揺れや、誤解を恐れずに書くと
「ロマンティシズム」というものがバッハの中に表現されていた。
左手の扱いがときに乱暴に感じられるところもあったが
それも若さゆえのテンペラメントと思える不思議な特質を感じた。
ちっともこの人知らなかったけど、期待の若手(といっても36歳)だそうで
ポーランド人とか。ショパンではどんな演奏をするのか。興味津々。


2:雅子妃バッシング再熱


年末の週刊朝日新春合併号を読んで、私は軽く驚いていた。
「精神を病まれておかわいそう!」「宮内庁は旧態依然!」という
論調がにわかに一転、この記事でははっきりと東宮妃の「意識の低さ」を
「叱責」する論調だったから。「へええ」なんておもってりゃ年明けの文春(1月19日号)
でも同様に、「自身の責任をもっと自覚してほしい」という論調の文章が掲載され、
さらには「離婚説」まで一部メディアが「タブーではない」との記事を。
まあ、私は「どっちでもいい」という至極無興味なんですが、
誰も何も「ひらかれた皇室」なのか突き詰めて考えてないだけだな、という印象。
天皇家というのは全メディアをチェックしているのは確かだから、
これ以上雅子妃が心痛を深められないことを祈るだけだ。
冗談じゃなく、史上初の「自殺した皇太子妃」なんてことにもなりかねないと思う。


3:小山明子の努力


いうまでもなく女優にして大島渚監督の妻である。
「パパはマイナス50点―介護うつを越えて夫、大島渚を支えた10年」(集英社
という本を出されたのだが、凄すぎる。何度も大病をし重度の障害が残る夫を
介護、看護しながら、自らもうつになり自殺未遂をされ、現在は良好、
また介護を続ける彼女の「心の在り方」を見つけ出すまでの一代記だ。
そして、ひとりの戦前生まれの女性の「覚悟」の仕方に感動を覚えた。