モーツァルトのオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」の衣装に疑問

味気ないポスターだ

キリのいい30歳という歳になって、なぜか不思議にいろいろ
「初体験」をしておこうという気持ちになってます。
自分でもよくわからない衝動ですが、段々興味のないことに対して
積極性がなくなってきている焦りなのかもしれないなあ。


さて今回は「オペラ」を初体験。
初台のオペラシティにてモーツァルトの喜劇
コジ・ファン・トゥッテ」を観てきました。
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000025.html
(2月11日・指揮:オラフ・ヘンツォルト、演出:コルネリア・レプシュレーガー)。
2組の仲睦まじい恋人同士が主人公。男達はどちらのほうが
より深い結びつきであるかを競い、自ら変装して互いの恋人を誘惑、
その愛の深さを試す……という話。
メロディやストーリーの如何は初体験だけに
評めいたことは書きませんが、自分が一番気になったことをひとつだけ。


最近は古典演劇でもバレエでも、本来の古式ゆかしい大掛かりなセット、
衣装を拝し現代的な演出や衣装で上演されることがとても多くなっている。
というかそのほうが主流といっても言いすぎじゃあないだろう。
今回のオペラも同様に現代的な衣装で簡素なセットだったんだけど、
私はこの演目に関しては、それが作品の持つ面白みを殺してると思った。


女の「貞操」を試すというのが作品のキーだとしたら、
あの時代のコルセットやら大袈裟な衣装は、女がたやすく開放的になれない
「象徴」として非常にふさわしいものだと思うから。まあ直球ですが。
女性二人は普通のワンピースみたいなフツーの衣装だったんだけど、
セリフがいずれも「近寄らないで! 私の感情を乱すようなことをなさらないでェ〜〜」
「この胸をかき乱すなんという皮肉な男達ッ!」みたいな
大時代な言い回しなものだから、似合わないんだよなあ。
なんていうか……浴衣を着て歌舞伎演じてるような違和感。
リハーサル見せられているような気分。現代的コスチュームって
時に物凄く効果的だけど、やるんであれば「古典」よりもさらに
効果的でなければやる意味がないと思う。


なーんて素人がわかったようなこと書きましたが、
誘ってくれたクラシック関係者の方によると「純粋に予算の問題」で、
こういうやり方を選択することが多いとか。なるほどね。
それにシンプルに各歌手のアリアを楽しむお客さんも多いだろうし、
はい、野暮言いません。それに本当に豪華なグランド・オペラなんて
カジュアルに楽しめるもんじゃないしね。
キャストは女中のデスピーナを演じた中嶋彰子さんという方が、
日本人とは思えないほど深く広い声でドラマティックで素晴らしかった。
日本の古典芸能の言い方だと、「筒」の広い歌い方。見事でした
今度は映画『ヴェニスに死す』で使われたようなドイツ・オペラを体験してみたいなあ。
たまには、スーツでも着て出かけよう。


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今日の一食
新宿1丁目・「呉(ウー)さんの厨房」の香菜サラダ(中華料理)
http://www.h2.dion.ne.jp/~wu-san/


 


散歩中にフト、料理屋の店先の看板に足を止められることがある。
書いてあるメニューのどれもが、ちょっとヒネリがあって、店主が
「美味いもんすきなんだなァ……この人」というニオイがプンプンするような品々。
それは私にとって、非常に幸せな、嬉しい瞬間のひとつだ。
そんな店のひとつが、ここ呉さんの厨房。
写真の香菜サラダはレタスやキャベツに香菜たっぷり、ミミガーと合えて
ピリ辛ドレッシングがかかっている私の大好物。
餃子は中に牡蠣をザッと叩いた肉餡を入れて、ニンニクの荒みじんを効かせた醤油ダレで
頂く。うまああい。炒め物がちょっと火の通りが家庭的だが、愛嬌の範囲。
本格中華、というよりも美味しいもの好きの友人宅で
タップリ振舞われてご満悦、みたいな気分になれる店。
近所にあって嬉しい一軒。