市川新之助の女形

そういえばもう跡取りがいるのか

団菊祭五月大歌舞伎 
長唄「藤娘」


というわけで昨日の続き、夜の部舞踊二題の感想など。
今をときめく若手二人による舞踊が夜の部の中番。
それも若手女形の中でもピカイチの美貌を誇る尾上菊之助が男役で、
歌舞伎俳優の中でダントツの二枚目である
市川新之助女形を演じるという趣向。
さて、あの無骨で傲慢なまでに美丈夫な新之助がどう藤の清を踊るか。
見てまいりましたとも。結果。
押し出しと存在感たる「華」は立役同様立派なものであり、
その美貌は当代の上村吉弥のような涼しげに品のある結構なものだった。
肩から胸にかけての男らしい体つきと
それをかくす気もないあっけらかんとした佇まいは
仕方のないものとしても、一生懸命藤娘になろうとしている風情、
そして、良家の子女がはじめて日舞のおさらいに出たかのような楚々とした
雰囲気は、今までこの人の舞台には見られなかったものだ。
その好感度が、うーんなんともよかったんですね。
のちの「藤音頭」での崩したような達者ぶる踊り方は頂けないけど、
舞踊の細かいところにケチをつけてもしゃあない。
歌舞伎の世界では、ちょっとした役を大御所が演じたり、
以外なキャスティングで客を喜ばすことを「ご馳走」というんだけど、
これはもう、スペシャルなご馳走以外の何者でもないんですからね。
ケチをつけるのは野暮というもの。綺麗で素敵な時分の花でした。


●蛇足
三味線、長唄、そして鼓がまるっきりド下手糞で
聞くに堪えなかった。あれじゃ素人だよ、どうしたんだよ、おい。
三味線など藤音頭に差し掛かるさいの合方、お茶を濁したとしか思えない。
あそこが聞かせどころでしょう。まるで大正琴のような音だった。
もう地方(じかた)じゃなく名人・芳村伊十郎のテープでやったほうがいい。
そのほうがよっぽど高級な舞台だ。


●お知らせ (はっつけるの最近忘れてました…ヨロシクです!)

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