俳優・田村高廣さんの死

安らかに

 こんにちは、遅ればせながらカウンターを入れて40日ちょっとで1万アクセス超えました。これからも駄文ですが書いていきますのでどうぞよろしくお願い致します。さて、今日は悲しい感想です。


●突然に、名優逝く
 俳優の田村高廣さんが亡くなられた。77歳。早いと思う。まっとうに、しっかりと、「善」を演じられる人だった。
 人間の善性、ってほど難しいものはない。よく出されるたとえ話だが、「地獄」や「悪魔」の想像図というのは大変パターンが多く、複雑にして無限なものらしい。それに対して「天国」や「天使」の想像図というのは、どうしても似通ってしまうものなのだそうだ。
 人間の心の中の「魔」というのは想像しやすいのだろう。
「あいつがいなくなればいいな」「あの人がどうしても欲しい」簡単な日常の欲求を突き詰めれば、いともたやすく犯罪につながる。誰しもそういう汚い心を持っている。そこを見つめ、乗り越えたところに多分本当の優しさや人間の良心ってものがあるんだろう。そういった薄っぺらくない、本当の「善」を演じられる男優だった。

 映画『白い巨塔』では派閥システムに屈しない信念の医者を演じ、まさに彼のイノセンスがいきた名演をのこされた。そしてまた、女優映画における「受けの芝居」が大変上手な人でもあった。これはなかなかに難しい、高級な芝居だ。その最上の演技が、増村保造監督の名作『清作の妻』で観られる。この映画では、愛とエゴイズムの塊りみたいな妻(若尾文子)が、戦争に取られたくないばっかりに夫である田村を失明させてしまう。これは相手が田村高廣だから良かった。そんなことをされてもなお、妻のエゴを最終的には「包み込んで」しまうかのような、不思議なニュアンスが生まれて名画となった。
 決して優しいだけじゃない、人生の厳しさや辛さを含めて理解した上で生まれる「滋味」のようなものを表現されていた俳優さんだった。本当にお疲れ様でした。素敵な演技をありがとうございました。忘れません。


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