「天空の蜂」 著:東野圭吾

天空の蜂 (講談社文庫)

天空の蜂 (講談社文庫)


1998年に出版された「文庫本」の紹介をするってえのも間抜けな話ですが、
あんまりにも面白かったので書かずにはおれない。文庫にして622ページ、5時間ほどで
一気に読んでしまいました。うっわーコーフンした! 手に汗握った!! 
続きが読みたくて読みたくて最後まで仕方なかった!!! 
物語のスピード感がまず素晴らしい。
防衛庁の委託を受けて開発された最新ヘリコプターを何者かが略奪。
コンピューターによる自動操作でヘリは動き出し、原子力発電所の上でホバリング
停止状態となり犯人達からFAXが届く。
「今すぐ全国の原子力発電所を操作不能にせよ。さもないと爆弾を積んだヘリを墜落させる」
衝撃が日本中を駆け巡る。そして不幸なことに、ヘリにはいたずら好きな少年が乗り込んでしまっていた……。
と、こんな複雑なプロセスをあーっという間に読ませていく。まるで良質の映画を見ているよう。
上空での少年救出は可能なのか、政府がこの要求を呑むのか、
犯人検挙にあたる刑事達のドラマ、原子力発電をストップさせることを呑んだ政府の駆け引き、
そして供給できなくなった電力は社会にどんな影響を与えるのか――読み手の知的好奇心を
これでもかと常に刺激しながら、グイグイ話が進んでいくダイナミックな読み応え。ああ、スリリング!
こんな興奮はヒッチコックの『北北西に進路を取れ』を観たとき以来だ。
無駄がないのがまずいい。調べたこと知識になったことを、貧乏根性でやたら詰め込みすぎたり、
人間を描くことを「感情描写の文字数を多くする」という頭悪い直球でしか成し得ない作家が多い中、
必要最低限の文章でしっかりと人間関係とそのドラマを構築している。
だから数多い登場人物たちが、邪魔しあわない。こんがらがらない。
第1級のエンターテイメントを久々堪能しました。あー面白かった。


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