映画『美しい人』 シシー・スペイセクの演技に脱帽

ホリーがどんどんマッチョに……

http://www.elephant-picture.jp/utsukusii/
東京、渋谷ル・シネマにて公開中。

ダコタ・ファニンググレン・クローズが親子役だと!?」
その事実があまりにも衝撃的で観て参りましたこの作品。この設定だけですでにポランスキーの名作「ローズマリーの赤ちゃん」をも遥かに凌駕、強烈なインパクトをたたえています。もちろんこれは間違った見方ですよ皆さん、真似しちゃいけません。まあ実際は『彼女を見ればわかること』のロドリゴ・ガルシア監督作品らしく、とてもナイーブで、人間の「こころ」の微妙な、あやふやな部分をしっかりと描いた佳作でした。


「喜」「怒」「哀」「楽」というおおまかな心のベクトルに入りきらないような、言い尽くせないニュアンスを、この監督はヒジョーにうまく映像にしてくる。「嬉しい」「悲しい」、「許せない」「愛しい」、「嫌い」「好き」……相反する2つの感情、その間を揺れ動く人間の、矛盾した気持ちや行動。この作品はそんな微妙でセンシティブな心の動きを「9つの人生」としに振り分け、オムニバスとして表現したこの作品。
 それらの人生を生きる9人の女優達はいずれも好演、特に私はシシー・スペイセクが印象に残った。素晴らしかった。
この女優さん、『キャリー』のイメージが強すぎるってのもあるけど、なんとなーく「幼女」というか「妖女」というか……独特のインパクトがあるんだよねえ。はっきりいって、不気味な感じがある。どこか「宇宙人」的な透明感。しかしそれがひとたび演技となると、不思議なリアリティが生まれてくる。役としての「血」が通って生き生きとしてくる。アクションもセリフもほっとんどない中で、シシー演じるルースという女性の複雑な環境や、いろんなものが交じり合った思い、人生観のようなものを表現する、その「巧まざるうまさ」……私はちょっと感動しちゃったなあ。
 とっても短いオムニバスなのに、一人の人間の来し方を感じさせてしまう。女優ですね。うん、成瀬巳喜男作品が好きなひとなら結構気に入ると思う。結構ディープな人生ばかりだが、後味はさわやかだった。


●追記
これ原題は9つの人生を描くオムニバスということで、まんま「NINE LIVES」というタイトルなんですが、
このタイトルって結構繰り返し使われる定型句みたいなもんなんでしょうか。確か『ティファニーで朝食を』でジョージ・ペパード演じる作家の本がこういうタイトルだったような。


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