美味しい一瞬を逃がす女たち ―東銀座のワインバーにて―

 銀座にある「ラ・マリージェンヌ」は数少ない「感じの良い」ワインバー。
ひとことでいって、品の良い人たちで構成されているから、居心地の良いことこの上ないのだ。
やたらワイン自慢だったりフランス至上主義だったりぺダンティックな人間が多いワイン業界で、
コージーでくつろげるひとときを提供したい、というサービスの基本をわきまえているお店なんだなあ。
 はい、謝りますが思いっきり「上から目線」で書いてます。
だってさぁ笑っちゃうぐらい気取ってる奴多いんだもーんワイン主体の店って。
お前が気取るトコじゃねえんだよ、客に気取らせろッ! と突っ込みたくなる人多いのなんのって……って何で
最初からこんな逆上してんでしょうね私(笑)。ああハナっから脱線。いつものことですが。
 さてこのマリージェンヌを営むIさんから「ランチの美味しい店がありますよ」とのタレコミを受け、
早速友人Jと突撃してまいりました。場所は東銀座、「ランチ予約は出来ず、すんごい混む」とのことだったので
開店と同時に入ったのが11:30。
 メイン一品のみパンがついて1000円というシンプルな内容だったが、結果は大満足!
ポーション・味付け共に申し分ないもので、グラスで頼んだシャンパンとワインも、
値段は7〜800円と手頃ながら、味わいは倍ぐらいの値段を想起させるもので、
ランチで儲けるつもりはないというようなお店側の主義を感じられてとても清々しかった。
内装も綺麗で夜来たらいいムードだろうなあ……と、いい気分でワインなんか身分不相応に飲んでりゃ。
 スンゴイですよナダレのように12時過ぎた頃から女性客が押し寄せてきます。ドドドドド。
いかにも「THE GINZA」「プランタン」とか好きそうなファッションの(みのもんた言うところの)
「お嬢さん方」をはじめ、ランチタイムOL軍団が大挙してアッというまに満席。綺麗な人ばっかりなのに
さながら伊東サンハトヤの宴会場の如き喧騒に包まれるオサレ・ワインバー。例えが古いな。
 まぁこの内容なら人気も当然とは思ったが、私は彼女達の「食いっぷり」を見てある感慨を持ってしまった。
それが今日のメインテーマ。


 結論から書くが、多分いい人達なんだと思う。悪気がないのは分かる。
けれど私は「美味しい一瞬を逃す人」というのが耐えられない。言葉は悪いが、「愚鈍!」とすら思う。
こっからは愚痴めいた雑言です。興味のある人だけ読んでほしい。
 彼女達は味なんか求めちゃいないのだ。それが証拠にお皿が運ばれてきても、
料理に目もくれず喋りとおしている。ギャルソンとのちょっとしたやり取りを愉しむことなど毛頭考えちゃいない。
そして自分の話がひと段落するまで料理を口に運ぶことなどなく、
一番美味しい火のとおり具合をミスミス逃がしても平気のヘイザ(大死語)なのだ。
私は横で見てて「ああああ冷めちゃうよ、鴨のサラダ仕立てなんて表面はひんやりと、
内側はほんのり温かいってところがシェフの腕の見せ所なんだから早く食べてあげなよ!」
「カキのグラタンがまだ熱くブクブクいってるところをフーフーして食べるのが醍醐味じゃないか、ほら早くゥ!」
などと思って気が気でなくなっちゃう。我ながら「アホか」「ヒマね」と思うがそういう性(さが)なのだ。
人のことなんかほっときゃいいのにね。でもなあ、どんなにか店側も悲しいことと思う。
 いい店というのは料理を運ぶタイミングに一番気を遣ってるのだ。
 彼女達の目的は「素敵なところでいいメシ食ってる素敵な私」を堪能する、その一点に尽きるんだろう。
そしてその手の欲求を満たしてあげることも料理屋の仕事のひとつだとは思うし、
またこういう客が売り上げの多くを占めていることは紛れもない事実なのだ。
(ランチでワインと美味しいものをゆっくり食べたい、なんて客だけだったら間違いなくその店は潰れるだろう)
でもねえ……そんなに喋りたいのか!? 話はいつでも出来るが、美味しい一瞬は逃がしたら戻らないというのにねえ。
 ただひとこと、「もったいない」と思う。


 分かっちゃいるんです、余計なお世話だってことは。
私が不思議なのは、そういう女に限って洋服や化粧には人一倍気を遣い、
エクササイズや習い事なんかにも血道をあげていることだ。
「素敵な私」になりたくて外見を磨き上げているんだろうに、
所作・振る舞いにはまーーーったく無関心なのね。なんなんだこのアンバランスは!?
 どんどん小うるさくなってくるが、昨今の着物ブームも私には不可解でしょうがない。
いい着物着てる人は増えてきてると思うが(あくまで東京中心部の話)、
歩き方や仕草に気を遣う人は皆無といっていいだろう。ジッとしてるといい女がひとたび歩き出すと
鬼のように下品になってしまう(これはその人の品性の問題ではなく、洋服の歩き方を
まんま着物でやるとアバズレっぽくなってしまうのだ)。そこは気にならないのだろうか。
 それからうるさついでに言うと「字」ね。
どんなに美しく装おうが振舞おうが知的な女だろうが、字が汚いと一発でバカに見える。
一瞬にしてダサい女に転落してしまう。私は断言するが近い将来必ず「習字ブーム」が来ますね。
ここまでワープロが普及した今、究極の無駄(=贅沢)は字を美しくすること、これしかないだろう。
一年に数回、冠婚葬祭やお礼状などでしか披露できないスキルだが、結構多いんですよね
「字コンプレックス」の人って。人前で流麗な字を披露する悦びと優越感は、
間違いなくデキる女の琴線をかき鳴らすに違いないッ! などと脱線しまくりの今日の話ですが、結論。
 うるさいやつだ、俺は。
 明日は本来の路線に戻っておバカ話しますから、見捨てないでくださいね。
なんだかミョーに一言居士になってしまった今日のハクオーでした。老後は友人一人もいないであろう。


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