ジャック・パランス、バブル的表紙……最近の雑記

 ツーッと鼻の奥に差し込むような冷たさ、
今日の朝、窓を開けたら途端に吹いてきた風に感じました。
こんな感じ今年初めてかもしれない……うーん、ようやく秋でしょうか。
目にはさやかに見えねども、じゃないけど、とてつもなく乾いた空気と
足元にジンワリと来る寒い風に秋を感じました。昔の人はうまいこといいますね。
風の音にぞおどろかれぬる11月の半ば……ていうか遅いっつーの!
うちの近所冗談じゃなくまだハイビスカスとか朝顔やヘチマが花つけてますからね、
異常にもほどがあるなあ。なんだか怖いなあ。さて今日はちょっとした最近の雑記を。


ジャック・パランスさん死去
 なんといっても『シェーン』の悪役が有名な方だが、
私はビリー・クリスタルのうるささがうまく役柄にのった『シティ・スリッカーズ』での演技が印象的だった。
彼はこの映画で見事アカデミー助演男優賞を獲得したのだけれど、
その壇上でなんと突然腕立て伏せをはじめだし、「俺はこの通りまだまだ元気なんだ、だから仕事をくれよな!」
みたいなスピーチをしたのを強烈に覚えている。今日のこの日は栄光の只中にいるけれども、
昨日までの彼の日常にあふれていたのであろう寂寥感や孤独、そんなものが痛切に感じられて、
当時中学生だったかの私には結構ショッキングだった。
歳とともに仕事がなくなってくる……多くの俳優達が抱える潜在的な恐怖、みたいなものを
間近に見せられたような気がしたのだと思う。いかにもタフガイ、といった感じのガッシリした体躯に
スラッとした長身、美男というのではないけれど、チャーミングな笑顔をたたえていたジャック・パランス
男らしいアメリカン・ガイといった風情で、無常的な悩みなどといったものとは無縁っぽく見えた
彼のアクションだったから、よりインパクトがあったのかもしれない。
ちなみにその後も結構お仕事あったようです。89歳、合掌。


●誰も突っ込まないようなので
 大きなお世話ですがひとことだけ。今発売されている「Lapita」という雑誌があるんですが……いやあ……
はっきりいって面食らってしまう。そして渇いた笑いがもれてしまう。表紙からご覧くださいこのイメージカット。
広がる夕暮れの空、そしてバックには海と高層ビルの影、そしてなぜかいきなりバスタブにつかる男が正面に、
片手にはもちろんシャンパングラスと脇にワインクーラー……「バブル復活」って
こういうことだったんでしょうか。違う。本ッ当にベタ過ぎる「成功した男」のイメージフォトですね、
というか1980年代によーく見られたような「アーバンでメロウな大人の男のライフスタイル」を
考古学的に厳密に再生復活させたとしか思えない。映画『花の降る午後』とかで桜田淳子の夫役が
まさにこんな男を演じていた。お風呂は当然「ジャグジー」でお酒はワイン、外車に詳しくて余暇は
クルーザーでドンペリ空けて……今ではギャグとしか思えないような「海外セレブコンプレックスの権化」みたいな
存在が2006年も終わろうとしている今このときにまだ表紙になるのか! 
そしてこんな「セレブ・ザッツイメージ」的生活って、
いまだに男達の憧れたり得るものなんだろうか……そのことに私は驚いてしまった。
はっきり言ってしまうが、とてつもなくダサくてビンボ臭いと思う。
私はこーいう精神的田舎者をアジテートするようなワルノリ・マスコミってのがだーいッ嫌いなのだ。
ああ、余計なことを……。


週刊文春11月16日号
 今世の中の大きなトピックになっている「いじめ」と「自殺」現象について数人の方が意見を寄せている。
私は作家の玄侑宗久さんの意見があまりにも見事で唸ってしまった。
短く簡潔にこの問題の背景とすべき対処をまとめていらっしゃる。
ああ……こういう文章を書けるように心がけたいものです、というかあまりにも高い目標だが。
そして「国家の品格」のベストセラーで知られる藤原正彦さんの意見も「そうだそうだ、その通り!」と
思わず叫びたくなっちゃう痛快な内容。「武士道」なんて言葉を聞くと身構えて引いちゃう人も多いだろうが、
一読されてみてほしい。また小林信彦さんも連載でこのテーマについて述べられていて、
そちらも余計な言葉を一切省いて問題の核心を突く内容でした。来週水曜日まで店頭にあると思う。


■一週間の自分のための記録(日曜恒例)
日:新宿の焼肉屋長春館でチゲ鍋ランチ。あまり辛くない。原稿書き。夜はジョアン・ジルベルト公演なのだが早めに銀座行ってちょっとブラブラ。数多い姉のひとり、A部さんと待ち合わせして最近のお気に入りベルギー・ビールと美味しいおつまみが楽しめる「Houblon」にてあーでもないこーでもないトーク。 夜は新宿に移動、沖縄料理「海森」にてサク飯後帰宅。
月:またも銀座へ。東宝試写室にて『犬神家の一族』鑑賞、ラストに泣く。お昼は気になってた京橋のインド料理「ダバ・インディア」にて。全部のメニューを食べたくなる。渋谷にてヤボ用後「ヴィノスやまざき」でボーッとする。この時間が最近一番楽しい。帰宅後時計原稿の仕事。
火:なんだか見直したくなって『アメリカンビューティー』再見。アネット・ベニングはまだウォーレン・ビーティと仲良くしてるのだろうか。思いたってようやく衣替えを完全に済ます。スッキリしたが鼻と目がガビガビになり鼻水がとまらない。四谷のスペイン料理屋でバイト。木下恵介のドキュメントを見る。
水:朝からずっと原稿を書き一本仕上げる。時計をみたら1時前、間に合いそうなので飯田橋ギンレイホールに駆けつけ『ヨコハマメリー』『嫌われ松子の一生』を見る。家に帰ってドイツ映画『青い棘』を見た後時計HPの原稿をエッチラオッチラ書く。
木:昼は荒木町の「カルミネ エドッキャーノ」にてイタリアンランチ。ラザニアのホワイトソースがムースのようで素晴らしい。きのこのマリネたっぷりのサラダにも満足。そこから伊勢丹のワインフェアをのぞく。流行のビオワインがたっぷり。1500円で信じられないほど美味い赤ワインを発見、思わず2本購入。ここの輸入元「D」社のAさんは本当に熱心でワイン好きという姿勢が素晴らしい。夜は原稿書き。
金:行きつけのお気に入りイタリアン、「タベルナ・ロッサーナ」でランチ。小海老生姜風味のスパゲッティが最高。ハウスワインにしているというイタリアのさるシャトーがお得意様用に限定で作っているという「ぶどうジャム」を食べさせてくれたが……ジャムで感動するとは思わなかった。衝撃的にうまい。夜は四谷にてバイト、その後オーナー夫妻、近くのおでん屋さんの主人とワインバー「サッカバン」で食事。特製ハンバーグにはフォアグラとピスタチオが入ってて素晴らしく美味しい。
土:いつもの楽しみ、「生活笑百科」で上沼恵美子のホラを堪能した後、日舞の稽古で人形町へ。夜は中目黒にて友人Aと行ってみたかった「モノポール」にて食事。名物というオムライスは評判どおり美味しかった。その後こちらも美味しいおつまみいっぱいの「尋」に移動、0時まで飲んで帰宅。


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