感涙とはこういうものか・その1――中野翠さん

hakuouatsushi2006-12-12

 まぁ私も30歳過ぎてヒゲなんかはやしちゃって小太りなオッサンなわけですよ実際。もーすっかり何ちゅうんでしょうかね、スレちゃってフテブテしくなっちゃって、ちょっとやそっとのことじゃ感動なぞしようもない、するもんかと思ってましたが……うーーーーん……ああどうしよっかなぁ……書こうか、書くまいか……。まぁいい、決めた。本当に自分の心の動きを文字に書きとめておきたい、それだけの理由で今日は書きます。何の情報もトリヴィアもありません、どうぞ私の文章に興味のない人はスルーしてください。本題!

 昨日のネタとして書いた映画、『リトル・ミス・サンシャイン』の試写が終わったときのこと。宣伝会社のKさんに「面白かったよー」などと話しかけようとしたそのときッ!! 
 一瞬脳内フリーズ。ハッとして思わず立ちすくみそうになってしまったが、あの、あの……我が敬愛の中野翠さんがいるではないか! そう思った瞬間に、なんだか居ても立ってもいられなくなって、足早に試写室をあとにしてしまった。ツタツタと駅のほうに向かう私。(こっから心象風景は小さい文字で書きます。我ながらウザいパートだと思うのでどうぞ読み飛ばしてちょうだい)


うわああああぁあぁ本物だよ……どーしよう(どうもしなくていい)間違いない……あのオカッパ……あのオシャレ……本人だよねえ本人だよ。そう、昔何かのエッセイで「突然本屋でファンに声掛けられて物凄く恥ずかしくて『違います!』と言って逃げてしまった」って書いてあったもの。声なんか掛けたら迷惑に決まってる……そういう野暮なことが一番嫌いな人なんだよなあ! でも、でもなあ……よく考えたら私は一生中野翠に声掛けなかったこと後悔するんじゃないだろうか。人生で本当にこの人の書くものが好きだ! なんて宣言できる人早々いないわけだし、そんな人にめぐり合えるなんて一生あるかないかだよな。ここまでファンなんだもんねえ……ああでもどうして人間というのはファンなんですと言いたがってしまう特性があるもんなんだろう、言われたほうにしてみたら迷惑っていうか「それで?」ってなもんだよなあ……


 などということを30秒ぐらいの間に頭グルングルン回っちゃって(笑)自分でも驚きましたよ、結構優柔不断なんだな、私。ウダウダしてもはじまらない! もう振り返っていらしたら声掛ける、と決めて振り返りました! そしておわしました!! えいやッ!
「ハァッ、はぁのお!!」
 自分でも思い出したくないほどに……まるっきり「不審者」ですね、声うわずってやんの。そして正直に言いますが、こっからあまり記憶がさだかじゃないんです、モー思いっきり舞い上がっちゃって何喋ったかわかりゃしない。断片的な記憶を頼りに書くと……
「あっ……あのっ……」
(中野さん多分困惑・そしてこっちも用もないのに己がファンという非常に利己的な理由から話しかけてるため二の句が告げず。あああ時間がたっちゃうよ時間が……とド焦りで、まるで中学生が違うクラスの女の子に告白しようとしたら友達が通りかかっちゃったかのようなテンパリ具合になったハクオー固まる)
中野さん「……はい?」(なんなのあなた?ってな感じで見てらっしゃる中野様)
ハクオー「わッ! 私……ずっと前から読ませて……頂いてまして、だっ大ファンで……っ」
 もうここまできたからには正直にすべてを書く。このとき私、泣きだしちゃったんですよね。ひゃーーーーーーハッズカシイーーーーーーーーーーーーーッ!! もうこ心の動きが本当に不思議。中野さんの顔なんてね、見れてやしないの。ファンだったんです、ということを告げた瞬間から涙がブワーッと出てきてしまって抑えられなかった。とまらなくなって……恥ずかしいがしゃくりあげていたと思う。ヒック。多分その後は覚えている限り「すごくいろんなことを教えて頂いた」「僕にとって中野さんは(中野さんにとっての)澁澤龍彦のような人なんです」(中野さんはかつてその著書で澁澤氏の本から私はいろんなことを知った、教わったということを書いてらした。そのことも瞬間思い出したのだ)「ライターの端くれをやらせていただいてて、目標なんです」みたいに結構いろんなこと喋ったんじゃなかろうか。うーんアガってるというのに我ながらチャッカリしてるわ(笑)。中野さんは終始ニコニコして対応してくださった。ハッキリ心に残っているお言葉は「私なんか目標になさらないでもっと……(こっから先ウロ覚えなので省略)」その「なさらないで」という言葉遣いを聴いた瞬間にまた「ああ、中野さんとお話してるんだ!」と思ったんですねえ。そしたらもっと涙でちゃって(笑)。
 中野さんの文章はいつも、いくら乱暴な言葉を使おうとも底にきちんと「品」が流れていてすがすがしい。そう、その育ちのよさを、その一言からを感じて、「ああ、本物と会ってるんだなあ!」と実感したんですねえ、そう思うと、また堪らなくなっちゃって感激しちゃって……。うーん……ここでもういっちょ告白するが、私、その瞬間から両足の膝がガクガク震え出しちゃたんですよね。ドッヒャーーーーーコッパズカシーーーーーーーーッ!!! ていうか……その脇を試写帰りのいろんな映画関係者やら編集者が通ってたような……(笑)もうねー中野さんもいい加減迷惑だったことだろう、時間にして2分ぐらいだったと思うが、私にしては永遠のような、一秒のような感覚だった。「upset」というフィーリングをひっさしぶりに体験。自分もすっかりスレッカラシかと思ってたら、まだまだこんな気持ちになれたりもするんだなあ、意外だなあ。
 うーん長い! 勝手ですが明日に続きます。


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