上下切断遺体の顛末……人はなぜ人を切り刻むのか

ご冥福をお祈りします

 なんてことだ……奥さんだったのか、ホントかよ、マジで!? 結構動揺してしまっている私がいる。ええ……でも、マジで!? うっそお!? こんな結末を迎えるとは思わなかった、一体どんな修羅がこの二人の間に……。
 ニュース自体は下に貼り付けたので知らない人は読んでみてほしい。
 この事件は最初から不気味だった。私の住んでいるところからチャリで10分ぐらいのところに最初の遺体が入ったゴミ袋が出てきた、というのが直接的な恐怖の理由なんだけれど、(さすがにその後あの線路沿いを通ったときは気持ち悪かった)その後も渋谷・神山町という都会で発見されたことがますます「さらしものにしてやる」という非人間的な気持ちというか、見せしめ的なむごさを実感して……怖かったのだ。

 裏社会、といったフィクションでしか知らないダークサイドな世界が如実に現実のものとして突きつけられたようで、そっちのほうの知識や現状に詳しくない私は、はっきりいって怯えてしまった。
 それが、(こう言い切るのはちょっと短絡に過ぎるが)結局は夫婦間のもつれによる行為だったなんて――――。そう……私はこの結果を聞いて、「ああ、どこかで私はこの犯罪を、暴力団とかやくざとか、日常的にはに現実的な世界の仕業として片付けたかったんだなあ!」と思ったのだ。無意識のうちにこんな非道なことは、その筋の世界のこととして、あくまで「虚構化したもの」にすりかえたかったんだなあ、とつくづく思った。体を細分化して、分かりやすいところに半透明の袋に入れて捨て去る……どうして、どうしてそんなことがしたかったのか。してしまっただけなのか。何の思慮もなくやったことなのか。凄くそれが知りたい。
 渋谷区幡ヶ谷で起こった歯科医の息子が妹を殺し、執拗なまでに死後も痛めつけたのち切断するという事件も最近起きたばかりだった。(こちらもタレント志望だったという被害者に接触したことがある芸能関係者と私は友人で、このニュースを聞いたときにはお互い震え上がったものだ……)
 こちらは親と兄妹の間にとても屈折した歴史、愛情の不平等やら行き違いがそのバックにあるようで、まだ分かりやすく(という表現は失礼だけれど)まだ、腑に落ちる。愛されない子供の憤懣やるかたない積年の負のパワーというのはすごいものだ。(アメリカの新ゾディアック事件などもそんな因果関係にあったようだしね)ただ、私は遺体を切断する、という行為を「隠蔽工作を楽にする」「身元が割れにくいようにする」という意味以外でしてしまう人々のこころがわからない。わかるはずもない、異常な心理なのだから、とはどうしても思えないのだ。
 海よりも深い愛情、なんて表現はよく使われるところだし、事実人間の愛というものはときにはかり知れない深遠を感じさせるものだと思う。そしてそれと同様に、正反対であるところの憎悪や怨念という感情も、人間はときとして測定不能なまでに燃えたぎらせる生き物なんだろう。その結果が遺体切断なんだろうか。どーも私にはそうは思えない。こんなこと書くとバカにされるかもしれないが、この2つの事件の犯人たちは、本気で死者の復活をどこか怖れていたんじゃないだろうかって思うんだよね。こんなにも嫌いな妹、こんなにも恐ろしい夫が絶対に復活しないように、絶対に生き返らないように、手足をバラバラにする! 頭を切り離す! 出来る限り細切れにする…………!
 彼らは刺して殴って、相手が息絶えようとも決して安心できなかったのではないだろうか。「このあと寝てるときに起き上がってくるんじゃないだろうか……」「後ろを向いたすきにブチのめされるんじゃないだろうか……」疑念は膨れ上がり、そして死体損壊に――――。どんな修羅が彼らの間にあったのかはわからないが、憎しみという心の負の輪廻に飲み込まれてしまったことだけは事実だ。そう、ドラキュラの復活を怖れる人々のような伝説に、彼らは取り込まれてしまったのかもしれない。私の勝手な想像だが、真実はわからない。
 人は、なぜ人を切り刻むのだろう。


●ニュース本文
東京都新宿区と渋谷区で先月、切断された男性の胴体と下半身が相次いで見つかった事件で、警視庁新宿署特捜本部は10日、この男性の身元を会社員Aさん(30・伏字はブログ主による)(渋谷区富ヶ谷)と断定、妻がAさんの遺体を捨てたことを認めたため、死体遺棄容疑で逮捕した。
 妻は殺害についても認めており、同本部で動機などを追及している。
 死体遺棄容疑で逮捕されたのは、Aさんの妻のB容疑者(32・伏字はブログ主による)。
 調べによると、容疑者は昨年12月15日ごろから同28日にかけて、切断したAさんの胴体部分をビニール袋に入れ、新宿区西新宿7の路上に捨てたほか、渋谷区神山町1の民家敷地内に下半身を捨てた疑い。調べに対し、B容疑者は「夫を殺害後、のこぎりで遺体を切断し、新宿と渋谷に捨てた。口論が絶えず、暴力をふるわれていた」と供述している。
 Aさんの胴体は、12月16日に発見され、下半身は同28日に見つかった。
(2007年1月10日23時39分 読売新聞)


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