シドニー・シェルダンにはじまる連想雑記

『北北西に進路をとれ』でも登場

 シドニー・シェルダンの訃報を聞く。といっても彼のベストセラー「真夜中は別の顔」も「ゲームの達人」も読んでいないので、さほどなんの感慨もない。というよりもすべてに先んじていにしえのハリウッド・スター「オーソン・ウェルズ」と「フィービー・ケイツ」(懐かしいなあ『グレムリン』! いまやケヴィン・クラインの奥さんだ)が脳裏に浮かび、死を悼むどころか笑っちゃって不謹慎この上ない。シェルダンは私にとって大作家、というよりも「イングリッシュ・アドベンチャー」という英語教材の人、というイメージが何よりも強いんだなあ。この教材の広告は見たことある人も多いんじゃなかろうか。(写真参照・最近見てないけど確かラシュモア山の歴代大統領石造のイラストつきじゃなかったか!?) 


 なんでもシェルダン原作のストーリーを大スター達が吹き込んだテープを聴くだけで、そりゃあもう英語がグングンわかっちまうんだとか。もう話面白いやら演技も素敵だわで英語が頭に入っちゃって大変! という、なんだか変にテンションの高い広告だったような気がする。そうそう、「家出のドリッピー」とかいうタイトルで初級編からはじまるんだよなあ。この教材のキャッチフレーズのひとつに「240万人が学んだ英語教材」というのがあるのだけれど、すごいですよねえ240万! 本でもし240万部売れたら奇跡的大ベストセラーだと思うけれど、少なくとも私はマスコミ業界の人からですら「家出のドリッピー読んだ」という人と会ったことはない。もし読んだ方いたら感想教えて。散々からかってますが長年広告打ってるんだもの、キチンとした教材なんでしょうね! (と意味のないフォローも一応)
 こんなことを書くと失礼だが(でも書くけど)この人の本って「なんでこんないつもダサい装丁なんだろう!?」と常々思っていた。大ベストセラーらしいのに。私の怠惰が8割を占めるが、この人の本を読まずにきた理由の1割はそこにある。(あとの1割はすごく売れている、と聞くと「じゃあ読まない」と瞬間的に私は思ってしまう偏屈人間だからだ。みんなが知ってること、というのに圧倒的に興味がわかない。 なんでだろう) 音楽好きの人はよくジャケ買いというのをするんだろうが、私は本の装丁買いをよくしてしまう。なんていうか、自分が好きじゃない装丁の本が家にあるのがたまらなく嫌なんだよねえ。逆に装丁がいいと、中身がそれほど好きじゃなくてもずっと手元に置いておきたくなってしまう。話がそれるついでに書くが、本の装丁に関してちょっと前に素敵な本が出た。ユトレヒト、という中目黒の古本屋(といったらちょっと語弊があるのだけれど)のオーナー、江口宏志さんが出した「表紙とカバー」という本なのだけど、世界の素敵な装丁の本が集められていて観てて飽きない。私はこの本で塩月弥栄子さんのベストセラー「冠婚葬祭入門」がこんなに素敵な、あの宇野亜喜良さんによる装丁だったことを知った。おススメ!)
 と、ものすごく話が逸れて相変わらず分裂気味だなあ……閑話休題。今回の訃報で知ったのだけど、この人映画界出身だったのですね、不勉強にもまーったく知らなかった。『雨に唄えば』のドナルド・オコーナー主演『バスター・キートン物語』という監督作があって、そしてミュージカルの脚色では大名作『イースター・パレード』なんかも手がけているじゃないか! ふえー大好きなジュディ・ガーランドフレッド・アステアと仕事をした人なんだ、そう思うだけでもうすっごくカッコよく素敵な人と思っちゃうから不思議。あとオードリー・ヘップバーン主演、やけくそのように世界の大スターが集結しているのにそれしか見るところのない『華麗なる相続人』という珍作もこの人の原作だったのか(ちなみに本の邦題は『血族』)。いまさらながらだけど、ちょっと読んでみようかな。本当に一度読んだら止められないのだろうか。そんなプリングルスみたいな体験をちょっとネタにしたついでに実行しようと思う夜。おやすみなさい。

イースター・パレード 特別版 [DVD]

イースター・パレード 特別版 [DVD]

全編「ホワイト・クリスマス」の作曲者アーヴィング・バーリン(大好き!)によるミュージカル。ジュディとアステアの「カップル・オブ・スウェルズ」が最高!アン・ミラーの勝気なキャラもいいんだよなあ。


表紙とカバー

表紙とカバー

 冒頭の文章、明朝体のセレクトがなんともシックで素敵。


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