日比谷線での小学生・そして一週間の雑記

母・フジエがチョコ送ってきました

 地下鉄に乗っていたら、築地駅でちょこんと隣に女の子が腰掛けてきた。2年生ぐらいだろうか、あどけない顔をして新聞を片手に持っている。「こっちおいでよ」その子は向こうにいる友達に声をかけ、おもむろに新聞を広げた。新聞の横幅はその子の肩幅よりもやや広く、一生懸命に手を伸ばしている姿が可愛らしい。
 その子は突然「これが一面の記事になっちゃうなんてねえ、朝日新聞ってやだねえ」と舌っ足らずな声で言った。不躾だが興味を押さえられず覗いてみれば「バレンタイン商戦盛んに」みたいな文字が新聞に躍っている。向かいに立っている友達の子は私の驚いた顔を見たのか、「やめなよお」とその子に言ってクスクス笑う。意に介さない風の座っている女の子、くるっと新聞を裏返しにして今度はテレビ欄を見るや「あ、今日ポケモンあるんだ!」と嬉しそうに言う。そのギャップ、うーん分かるなあ。
 目を落とせば制服の胸元には、ペンをふたつ重ねた校章がプリントされていた。小学校では都内付属の中でも最高峰の学校だ。頭いいんだろうねえ。知識がほとばしる、というか大人の言ってることをすぐ吸収しちゃうんだよなあ。それも「これはインテリっぽい発言だなあ」「よくわからないけど何だか深そう」みたいなニュアンスを察知するのがうまいんだよね、この手の子は。それと同時にポケモンに反応しちゃう幼さ……なんだか嬉しくなってしまった。社会面を続いて広げていたが、残念ながら私は銀座で降りねばならなかった。これから観る映画よりも、ひょっとしてこの子のコメントのほうが面白かったりするのじゃないか、などと少し思った。
 さて、日曜は自分のための週間記録。


■■WEEKLY MEMO
月 :エミリオ・エステベス監督作「ボビー」試写、東銀座にて。K社・漫画編集のFさんにバッタリ会う! 我が敬愛の知識人であるこの方に会えて嬉しい。この回は精神科医名越康文さんなどや内館牧子さんなど有名人が多かった。映画の内容も良かったな。それはまたじっくり。仲良しヘアメイク・Kさんのうちでメシを食う。トマトソースのパスタを手づくり。
火:コリーヌ・セロー監督作「サンジャックへの道」試写、京橋にて。この辺は昭和30年代的なビルディングがかろうじて残ってて好きなエリアなんだが、ふるーいビルが解体されていてちょっと悲しい。家に帰りベティ・デイヴィスが貫禄でエリザベス一世を演じる『ヴァージン・クイーン』を観る。ジョーン・コリンズって色っぽいイメージだったけど、結構清純な役もできるんだなあ。坂東玉三郎はこれを観ただろうか。ちょっと悪寒がしたので銭湯に行ってあったまって蕎麦食って寝る。

水:昨日の予感があたり風邪の予感……今日は家で養生することに決定。ここぞとばかり溜まってるビデオを観続ける。ロシア映画「フリークスも人間も」中野翠さんは絶賛ですが私はノレなかった。家で観るタイプの映画じゃないな。それから「ビルとデッドの大冒険」を観る。こーいうのこそアメリカ映画の真骨頂だと思う。結構予算あるっぽくて笑える。キア
ヌ・リーヴスってこーいう作品が一番素晴らしい。美男に生まれなければよかった珍しい例。冷凍うどんにチューブしょうがドコドコ入れて食って寝る。
木:治った。朝早起きしたのでビデオ一本観る。「インソムニア」主演のアル・パチーノ不眠症にさいなまされつつ犯人を追う刑事、という役だが魅力的な人間像じゃないのでノレない。所用があって人形町へ。ロイヤルホテルのラウンジで昼食。その後東劇でトルコの音楽シーンを取材したドキュメント「クロッシングザブリッジ」の試写。イスタンブールの若者達がやってるラップが面白くてワクワクする。その後銀座に戻って知り合いの作品展をやってる画廊へ。疲れた。いつものように澁谷のヴィノスやまざきでボーっとする。この瞬間が一番リラックスするなあ。

金:K社で山田ミネコさんという漫画家さんのインタビュー。「花とゆめ」創刊からの活躍してらっしゃるベテランで、さすがに興味深い話がワンサカ出てくる。その後四谷のスペイン料理屋でバイト。今週もオーナー夫妻に飲みに連れてっていただく……いいのだろうか。
土:日本舞踊の稽古。長唄「若衆槍踊り」というのを稽古してるのだがまー難しいったらない。その後目黒の友人宅で鍋。ひとり二千円も出さないでいっぱい食べれて野菜もたくさん取れて、本当に言うことないなあ。
日:今日は国立新美術館に行って「異邦人たちのパリ」を観て来ました。そのことはまた詳しく。