「異邦人たちのパリ」 国立新美術館にて

hakuouatsushi2007-02-14

 春のような陽気の日曜日、六本木に出来たての国立新美術館を観に行ってきた。最近よくポスターが貼られているので目にしていたけど、黒川紀章によるウニョウニョした外観デザインも間近で見ると中々に素敵(写真だとちょっと「やりすぎでは?」と思っていた)。館内は光がたっぷり入る吹き抜けがドーンと左右に広がり、うーん、いい気分! シュワ〜と体からアクが抜けていくかのよう。さんさんと降り注ぐ光の中、カフェではビールを楽しむ人たちも。うーん、うまそう!
 こんな外観。周りの景色もなかなかに素敵。
 今日の目的は『異邦人たちのパリ』という企画展、1500円也。レオナール・フジタポートレートがチラシになっているように、エコール・ド・パリをはじめとしたアーティスト、それもフランス人以外の人々にスポットを当てた展示会。初イベントらしくビッグ・ネームがキラ星のごとく集められて豪華この上ない。さながら美術史の教科書を見てるかのよう。
 最初からたたみ掛けるようにフジタ、ヴァンドンゲン、シャガールモディリアーニピカソがわんさかと! 「ふん、大向こう狙った演出」などと口さがないこと思っても……やっぱアガりますね、いやー興奮。なーんていうか、油絵の具のひと筆にこもってる熱量のようなものが違う。小説でも映画でもそうだけど、人が何か「突き動かされた気持ち」というのを感じるのは、不思議な快感と「畏れ」のようなものを抱く独得の体験だ。
 その時代のパリの風景写真やフィルムなども流されていて、その頃の雰囲気を同時に想起させるような構成も中々に楽しい。ジャコメッティの作品を目と鼻の先に観れたのも嬉しかったし、また不勉強ながら「荻須高徳」という画家のことも今回初めて知った。一瞬「ユトリロか?」とも思ったが、より明るく柔らかい色調と漂う幸福感、佐伯祐三的でもありながら圧倒的に彼より健全な世界……ホガラカーな気持ちになれる作家だなあ。ほとんどをフランスですごしたというこの人のことをもっと知りたい。また抽象画の充実度にも興奮。一緒に行った友人も言っていたが、エミリオ・プッチってカンディンスキー的な世界を表現してたんですね。この時代のパリという街の異常なまでの芸術的密度……何度も映画や本の舞台になっているが、さながらアーティスティック・梁山泊のような縦の時間軸を濃厚に味わい、堪能した。などと呟きばかりですが、幅広く作品を質量共に網羅しつつ、展示間隔もそこそこ窮屈じゃないです。天井の高さと照明の感じもなかなか。晴れた暖かい日に一日中いたいような幸せな気分を味わった。平日にもう一度行く。
 明日、か分からないけれどこの日見た黒川紀章展と、美術館の他のスペース、そして圧倒的に感動したミロの絵のことをまた書きます。
 展示作品よりモディリアーニの一枚。すごい存在感。


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