別府旅行記・1

別府市街

 空港から市内に向かう道を行く。バスに乗って僕は一心に、窓を眺めていた。右を見れば山が見える。ときおり、川が走って見晴らしがよくなるポイントがある。そこからは、山のふもとからスーッと立ち昇る煙が見える。それもひとつふたつじゃなく、あらゆるところいっぱいだ。温泉の湯煙が、そこらじゅうから吹き出ている。
 左を見れば海が見える。ときおり、水平線がただ広がる一瞬がある。ああ、ほうけるなあ。ボーっとしてしまう。ふと見ると、海の色がすこし変わっているところがある。何だろうとよく見れば、川の水が流れ込んでいる所だった。山から続く河が海にたどりついている。その上をバスがゆく。
 道をさらにゆけば、入り江になった。光を浴びた海の碧と、山の蒼が重なる。そしてバックは青い空。うわあああああ、のどかだ! なんてまあ、ゼータクなところだろう。

 大分県の別府にいってきました。到着してから市街に向かう道すがら、その景色のよさに私は先のようなことをボー―――ッと考えてたなあ。「まほろば」なんて言葉を久々に思い出した二泊三日。去年東京から「別府がものすごく好き」という素敵な理由で移住した友人Hを頼っての旅、道連れは編集者時代のなかよし・M。
 アロハシャツにプラダのサングラス、非常に湯の街に合った素晴らしいコーディネートのHと涙の再会を果たし、さっさと市内観光へ。
 うーーーーーん……完璧だ。私好みの「昭和」の香りがこれでもかと煮詰まっている街、それが別府。温泉街らしく夜の大人スポット、古びたスナック街がワンサカあるんですが、豊田四郎監督の名作『甘い汗』のセットに紛れ込んだかのよう。さっきまでの自然派アララギ派のような「山に海」的ポエジーはどこへやら、私の目は色とりどりの、古びた看板に釘付けになってしまう。「19番ホール」(ゴルフの後はここで一杯、ということか?)「フィッシュ&ミュージック みち」(魚と音楽をいったいどういうスタイルで出すのか……)「フォーク&ポップス 博堂村」(いつから創業しているのか……)などなど、入り組んだ小路にひしめき合う店の数々……素敵。
 もう書ききれないぐらい貪欲にいろんなことした旅行なので、今日はとりあえずココまで。明日はざっと足取り雑記。


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