「リリーフ」のCM〜オムツを替える世代交代〜

長山藍子

渡る世間は鬼ばかり」で姑の介護を勤めるキャラを演じていた、長山藍子。彼女が長らくつとめていた大人用おむつのCMが、えなりかずきにバトンタッチ。
 そうですねえ……もう孫がやらないとね。もうすぐ(長山に代表される)我々の母親世代が、介護する側から介護予備軍に移行するのだ。そういうことを、まざまざと見せ付けられた気になる。
 えなりバージョン、具体的にご年配の方をキャスティングし、実際におむつを装着するプロセスまで披露。ここまで踏み込んだCMも初めてじゃあないだろうか。
 うーん……そうだよねえ、事実「おむつ」をつけるのは赤ちゃんよりも断然、要介護の方々のほうが多くなっているのだ。少子化、そして老人層の増加。

と、ここで考える。
「おむつを替える」って行為、どうなんでしょう。
 自意識が生まれてしまっている分、「大人→赤ちゃん」とは話が違う。子供が
「お世話になった親だもの、してあげるのは当然」
と思っていても、親としては最初はやっぱり……恥ずかしいことなのだろうなあ(すぐに「そんなこと言ってらんない」なるのだろうけれど)。
 考えてしまう。多くの人は、「肉親よりも他人にやってほしい」と思うものだろうか。それとも
「わが子にやってもらいたい」
と望むものだろうか。うーん……これから「老人」が増えるにつれ、病院のシステムとかも絶対に変わっていくと思うし、単純な比較は出来ないけれど、事実として子供が親を見ざるを得ない状況、家庭が増えるのは確か。


 で、ここからいきなり発想は飛躍するのだけれど、先日、北海道の苫小牧で「育児放棄、幼児餓死!」という事件があった。一ヶ月家出してしまった母。ほんとにそれこそ「もうやーめた」と出て行った。1歳の子供は餓死、3歳の子は残飯を食べたりして生き延びた。
「死んじゃうのは分かってた」と発言した21歳の母親。別に私はこの母について語りたいわけではない。いつの時代も立派な21歳も、愚かな21歳も、等しくいる。ただ、このような犯罪状況も、リリーフのCMよろしく変わっていくのだろう。あと15年ぐらいすると「介護放棄、親餓死!」「半身不随の母虐待」そんな事件が増えていくのだ。子供たちが犯人となった記事が俄然増えているに違いない。
 これまた先日、熊本県で「赤ちゃんポスト」なる制度が設けられた。産んだものの育てることが困難な親が、匿名で子供を預けられるシステムだが、これも近い将来間違いなく「介護老人ポスト」ができるに違いない。
 日本という国が確実に壮年期を迎えている。被害者が「赤ちゃん」が「老人」に代わっただけの見出しが躍るのだ。
 そんな誌面がおぼろ、私の目には浮かんだ。