遠野凪子はすでにシシーである――「麗しき鬼」

今では「悪鬼」呼ばわりの凪子

 いやー素晴らしかったですね今日の「麗しき鬼」、ご覧になった方いらっしゃるでしょうか。あの延々5分以上はあろうかという、遠野凪子vs.金子さやかのバトル、その燃える葛藤の凄まじさを! 大沢逸美が作中死んでしまってからというもの、このドラマに対する興味を失っていたんだが(それほどに逸美のクレイジー演技はすごかった。逸美ても波瀾万丈。「子宮から絞り出す声」というものを教えてくれたのは彼女と『吉原炎上』における西川峰子だけだ)……いやー今日の回には度肝抜かされました。ワンダフル!
 女が最も激しくその感情を燃やすときというのは「愛する人にないがしろにされたとき」だと私は思っているが、その次に恐ろしいのは「可愛さ余って憎さ百倍」というときですね、「どうしてこんなに愛しているのに分かってくれないの」「あれだけ目をかけて愛情を注いできたというのに」……そんな愛憎絡まりあうテンションの高い芝居を、遠野凪子は見事に表現していた。包丁をつかみ猪のように金子さやかに突進、「死ねえぇぇぇええぇぇッ!!」絶叫……そして今は昼の1時45分……素晴らしい……。


うん……ひどい言葉だが、この手のキャットファイトというのは、とかく「ゲテモノ」的見方をされがちだ。実質、女が髪を振り乱し、とっ組み合うというのは美しいものではないし、はっきり言って下衆なもの。酔っ払いが「いいぞ、ねーちゃん」「もっとやれー」と相好を崩し楽しむ、「余興」に近いものである。それを演技者が「見せもの」から「見もの」に変化させるには、掴みかかり、怒りに体を震わせ、殺したいと思ってしまうだけの何かが必要なのだ。その何かとは、「こんなに愛してるのに」「あんなに思ってきたのに」という感情と歴史を作り上げているかどうか、これに他ならない。
 なんだか「麗しき鬼」からこんな演技論になっちゃって自分でもおかしいな(笑)。うーんでもともかく、遠野は立派でした。1時42分の彼女は間違いなく狂っていた。素晴らしいキ○ガイの目でしたね、私は一瞬、激情に震える彼女の目のにごり具合に、「シシー・スペイセク」を見出したほど。昼間からあんな猛(たけ)り狂った女がテレビに流される国……今一番子供が見てはいけない時間帯は、間違いなく13時台だ。
 お忘れかもしれませんがNHK朝ドラ「すずらん」のヒロインです。面影はすでに完全払拭!


「麗しき鬼」公式HP→http://www.tokai-tv.com/uruoni/index.html


○追記
どうでもいいんですが……このドラマに出てくる「鮎ゆうき」さん、私彼女が怒ったり驚いたりするたびに「ちょっと綺麗なライス国務長官」に見えてしまう。なんかねえ、目のひん剥き具合とか黒人さんっぽいんだよなあ。お肌とっても白いのにライスに見えるというのも不思議だ。私だけしか見えないんだろうが。うん? 白いライス? 鮎なのに白米……って本当にくっだらないですね。いや、鮎さん素敵な女優さんです。ファンの方ごめんなさい。


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