「東京六花街」

芸者さんの小物のひとつ、舞扇

 「はなまち」、ではなく「かがい」と読むのが正しいのだそうですね。蔑称、とまではいかないようですが「はなまち」と読むと下に見た物言いのようで、今の芸者連は嫌うのだとか。そんな東京の芸者衆の「いま」が詰まった本を見つけました。新橋・赤坂・芳町・神楽坂・向島・浅草に今も残る、左褄を取る人々の姿が写真もタップリ収められています。「地球の歩き方」シリーズの一環だけあって、「芸者とは?」ということを知る初歩の手引き、といった趣きの一冊。

東京の各花街におけるスタイル、その特質の違いに触れつつ、「料亭ってどんなところだろう?」「芸者遊びってどんなもの?」というような、所謂「よくある質問」に答える形式の構成になっている。それでいて折々に、現役最長老クラスの芸者さんのインタビューや、俳優・渡辺文雄さんの娘さんが女将という赤坂の料亭、「口悦」の渡邉純子さんのインタビューなども挟まれて、芸者文化に馴染みの深い「玄人衆」にも興味深いであろう記事がチラホラと。後者の料亭など、店名のゴッド・ファーザーはあの小津安二郎というから驚いてしまった。小津という人は殆ど撮影所そばの飲み屋や上野辺りの料理屋、もしくは鎌倉を拠点とした飲み食いをしていたようだけれど、料亭遊びなどもしていたのかなあ。想像は膨らむ。
 あ、ちょっと蛇足だが、上記以外の花街ってあるんですねえ、八王子が紹介されているが、私は初めて知った。そしてなおかつ……私にはこちらの置屋「幸乃恵」の女将、恵さんがこの本一番の器量良しに思えてしまった。様子のいいスラリとした風情、色と品が程よく共存する佇まい、「鄙には稀な美女のたとえもあり……」なんてフレーズを出したら怒られるかなあ。


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