関所を越えた朝丘雪路の破竹の勢い

別名:深水美智雪

 「テレビ人の面白さ」ってのも千差万別ですが、私が最近注目しているのは「関所を越えた人の笑い」、これですね。関所といっても「よわい」の関所、要は「もう何言おうがオッケー」な人々の笑いです(この関所は現在70歳が目安のよう。黒柳徹子も70の声を聞いてから途端にタガが外れだした)。古くは森繁御大や村田英雄、淡谷のり子などがこのポジションにいらっしゃいましたが、近年参入されてきたなあ、と思うのが津川雅彦の奥さんにして南田洋子の義理の妹、朝丘雪路。今彼女は、間違いなく人生何度目かの「熟れごろ」を迎えている。

 先日日テレ系「ラジかるっ!」にゲスト出演していた彼女、トークも出ばなから「お若いですねいつまでも、今年でおいくつ?」と塩月弥栄子先生やフィニッシング・スクールの先生なら激怒しそうなマナー違反を犯す中山秀征にも全然こたえず、「72歳っ」と余裕の返答。そう……耳のいい人なら、この「72歳」の前に「んフッ」という声にならない声が聞こえたはず。
その「んフッ」は「照れ」の表現なのか、
(この場合、雪路の心の声を文章にすると「いやだぁ……年のことレディに聞くなんて!」みたいな感じか)
「誇り」の表現なのか。
(この場合「どう? とても古希を超えたバディじゃないでしょ?」ってとこか)
どっちにせよ誰もそこで「何がウフだよ」とは聞けないわけである。ま、そんなことはともかく雪路。こっからアクセルが掛かってくる。「芸名の由来は?」と聞かれ「朝の、雪の降った丘のように誰もまだ踏んでいない真っ白な存在」を意味して父・伊藤深水がつけてくれたの……とのたまったかと思えば間髪いれず「今はもうグチャグチャ(クシャっと微笑)」と続けた。
私は息を呑み目を見張った。雪路の今までの芸風ではありえなかった展開である。芸能界にありがちな「わがままお嬢さん→金満奥さん→大御所→泉の下へ」という展開に順当にいくと思われた雪路、70を超えて「ひとりノリ突っ込み」を覚えるとは……。
 驚いたのもつかのま、雪路は更なる芸境をみせる。なぜか登場した松村邦洋が連発する津川雅彦のモノマネに突っ込む秀ちゃん、「全部同じじゃん!」というあくまで松村への突っ込みに、「あれでも変えてるつもりなのよ、津川さん」と愛すべきハズへの突っ込みまで! 私が知る限り津川サイドへの芸に関する雪路からの意見は初めてだ。雪路は間違いなく加速している。


○追記
しかしどうでもいいが雪路、せっかく素敵な意味合いでつけてもらった芸名なのに、必ずテレビで使う一人称は本名の「ゆきえ」(活用形:「雪路さん、好きな食べ物は?」「ゆきえはね……アワビ(はぁと)」)。そして多分、芸能界広しといえども70過ぎて自分のことを名前で呼ぶのは雪路ひとり……。なんだか(正直いって)小バカにして書いてたんですが、ちょっと尊敬してきちゃった……こんなにゴーイングマイ・ウェイ(死語)になれるって才能です。俺って凡人だなあ……。


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