「彦や」のごはん

「かなしみ模様」も好きだった

 イングマル・ベルイマン監督、ミケランジェロ・アントニオーニ監督、作詞家の阿久悠と、巨人たちが次々とこの世を去っていった。前者二人は失礼ながら89歳のベルイマン、94歳のアントニオーニとかなりの高齢だけれど、阿久さんは70歳、まだ早いなあ。ニュースで流される彼の作品の数々……今更ながらに凄いとしかいいようがない。「時代の渇きをうめたいんだ」というようなことを口癖にされていた、と作曲家の都倉俊一さんが涙ながらに語っておられたのが印象的だった。うーん……プロですね。今は「自分がどう思っているか、どう感じているか」ということが表現のメインモチーフの時代だと思うけれど、この時代の「プロ」というものは「何が世間に訴えるか、響くのか」ということを分析できるプロデュース能力、そして客観性をもって作家活動をしていたんだなあ、と改めて実感。わたしは余り有名な曲じゃないけれど、ちあきなおみの「円舞曲」という歌が好きだった。ご冥福をお祈りします。
 ここ三日ばかり、 なんだか似合いもせず選挙関係のことを3日もネタにしてしまった。ちょっと今日は気軽に食べ物のことでも書いてみたい。

 新宿・抜弁天に「彦や」という素晴らしい店がある。ここは日替わりのメニューが山とあって、それも和洋中問わずなんでもアリの構成が楽しいったらありゃしない。ここのメニューを、ボーっと「どれにしようか、何にしようか」と迷う時間は至福だ。ノデラさんという方が作っておられるのだけれど、元々フレンチのシェフで、「場所柄フレンチを開いてもお客さんはこないだろうし、居酒屋にしたんです」と言ってらした。もう下手な文章を書くより、お行儀悪いが撮らせてもらった写真を並べるほうが、よっぽどここの美味しさを伝えられると思うので、ズラッと並べてみます。
 水茄子のぬか漬け。あっさりした漬かり具合ながら、フッと匂うぬかの香りの良さに驚く。ぬかは苦手、と思っている人に是非一度かがせてみたくなる。

 バルサミコ風味のチャーシュー。こーいうちょっと工夫の加えた何気ない一品がいつもあるお店。

 とうもろこしの天ぷら。かつら剥きのようにとうもろこしを切り、揚げたもの。ひと口食べるとツブツブからジューッと甘い汁が弾け出る。問答無用に楽しく、美味しい料理。

 フルーツトマトとタコとオクラのサラダ。プリプリ、ねばねば、ジューシィ。ニンニクたっぷりで夏のいいもの満載。

 新子の三杯酢。私の人差し指、第2関節ぐらいまでしかない小さな、小さな新子。さぞかし仕込みも大変だろうが、つまった旨味は抜群。

 冬瓜と夏鴨の煮物。夏と冬が小さなナベに一緒に、というのは冗談。もちろん冬瓜は夏のもの。鴨にほんのり肉の甘みを感じる。日本酒がほしくなる一品。こんなお店が近所にある私は、しあわせものだ。


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