ジェーン・ワイマン逝く

ジェーン・ワイマン

 ジェーン・ワイマンが亡くなった。まだ生きてらしたというのもちょっとビックリだが、93歳か。大往生、といって差し支えないだろう。
 報道ではロナルド・レーガンの元奥さん、ということばかりフィーチャーされているよう。失礼だなあ、アカデミー最優秀主演女優賞にノミネート4回、うち受賞が1回(1948年)、エミー賞ゴールデン・グローブ賞も受賞経験のある名女優だ。1984年のゴールデン・グローブ最優秀テレビ女優賞も獲得しているから、随分長いことトップを走ってこられたのだなあ。アメリカでは大体的にその死が悼まれているだろう。
 と、さも良く知っているかのように書いてますが、この人の映画は2本しか見ていない。グレゴリー・ペック(オードリーの『ローマの休日』で相手役だった人ですね、映画ファンじゃない方のために一応)と共演した『仔鹿物語』(1947)、そしてビリー・ワイルダー監督の『失われた週末』(1945)だ。後者はレイ・ミランドがスランプの作家を演じ、次第にアルコールに溺れていく悲劇を描いた作品。そのとき連れ添う奥さんを演じたのが彼女。それが実にひたむきで、真摯で、よかった。いわゆる「ハリウッド的美女」というのではなく、手堅い、品のいい綺麗さのある人に思えた(誰もピンと来ないだろうが、私は勝手にこの人のことを「アメリカ版・月丘夢路」だなーと思っている)。ダイヤモンドやゴージャスなルビー、というタイプじゃないけれど、深い海のような静かな輝きを放つ、カシミール・サファイヤのような女優さんだなあ、と思って結構好きだった。お疲れ様でした、安らかに。


○追記
さっきのアル中の作家を演じたというレイ・ミランド。この『失われた週末』で彼はアカデミー最優秀男優賞を受賞した。主演者二人が共にオスカー受賞者という結果になったわけだが、いまひとつ知名度のない映画ですね。暗いからなあ。ちなみに彼が亡くなったのが1986年。ジェーン・ワイマンが12歳年下のようだけれど、やっぱり女性は長生きなんですね。今頃、天国で二人は何か話をしているだろうか。
 なんと昭和5年レイ・ミランド


○今日は何の日
いきなりの大雨が何時間かおきにこぼれだす。車軸の如し、ってのはこーいうときに使うんだろうか。税務署に行く。いろいろ優しいお姉さんが説明してくれるがサーッパリ分からない。「その機材購入は減価償却的に考えて二つの申請の仕方があって、まず1年間で割って……」もう聞いているうちに脂汗が出てくる。気持ち悪くなってくる。ああ、大昔に数学や物理の授業を聞いていたときのことが思い出されてくる。「生涯学習」って本当はこういう意味だったのか……聞いててチンプンカンプンなことと言われると、頭の中に「ダメ男」という罵りがダブルで重なってくる。はーイヤだイヤだ。帰りは土砂降りだ。分不相応だが、タクシーで帰った夕方。
 アルトゥーロ・ベネッディ・ミケランジェリの名盤として名高い「ドビュッシー 前奏曲集&子供の領分」をHMVで買う。なんと千円の時代なんだなあ……名盤が信じられないぐらい大量に安くなっている。

ドビュッシー:前奏曲集第1巻

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