最近の映画メモ・1

ダニエル・ブリュール

 今日は、最近観た試写の感想メモ。
 独裁政権、他国の侵攻、大統領暗殺みたいなテーマの映画がなぜか続く。そしてまたどれも尺が結構あるんだこれが。重いテーマで長い時間……容易に「ハナチョウチン」なんかぶら下げている自分のバカヅラが想像できるではないか。齢32歳にして「晩年の小森のおばちゃま状態」になることだけは絶対に避けなければ! 
 というわけで、試写前日は早めに就寝、健康的な生活を送った9月であった。ま、いくら睡眠時間をタップリとっても、「眠くなっちゃう映画」ってーのはあるものなんだけどね。

○『サルバドールの朝』
<スペイン・独裁政権下の70年代初頭、若き反政府主義者のおはなし>
映画の出来うんぬん、ということよりも「こんなことがあったのか……知らなかった!」という気持ちのほうが大きい一本。恥ずかしながら、1939〜75年におけるスペインのフランコ独裁政権のことを殆ど私は知らなかった。たった32年前、その衝撃が一番強い。その体制に抗う、若き反政府運動家たちの物語。主人公の青年が「見せしめ」的にろくな裁判も受けられず、死刑、それも鉄の環で首の骨を折るという残忍な刑に処せられるラストは確かにショッキングで忘れ難い。
 しかし、自分たちの活動資金を「カンパ」という名のもとに銀行を襲撃する活動家ってどうよ。これに関しては「週刊現代」に江戸木純さんがお書きになられている評があまりにも的確で、素晴らしかった。理想追求に酔う精神的「若者」ほど迷惑な存在はない。人の金で革命すんじゃねえよ。ただ、主演のダニエル・ブリュール(上写真)は、演技・存在感共にやはり素晴らしい役者、彼でもっている部分が強い。現在公開中。


○『君の涙、ドナウに流れ』
<二次大戦後の、ソ連の属国的存在だったハンガリーのおはなし>
なんちゅうタイトルであろうか……私の時代でいうと、「宮本輝」の小説とか好きそうな純文中学生がノートに書き留めそうなフレーズだが、映画の内容はいたく硬派でありがちに真面目。これも映画そのもののドラマより、ベースに流れる「史実」のほうに心を動かされる。これまた私は、ハンガリーソ連に陵辱されてきた長い歴史に関してトンと無知であった……恥ずかしい。この作品は1956年に起こった脱ソ連を求める市民による武装決起、「ハンガリー動乱」を描いている。その年に行われたオリンピック、ソ連ハンガリー水球試合がドラマの核になる。その手に汗握る攻防戦のカタルシスはたいしたもの。
 しかしちょっと落ち着いて考えると、スポーツの持つ精神的昂揚作用、見るものをアジテートさせる威力、みたいなものが怖くなる。まさに諸刃の剣で、さんざんナチスが用いてきた方法論だもんなあ。メインのカップルに主演の「華と格」がなく、精彩に欠ける。


○今日は何の日
何の日、ってんじゃないが、ここにきてルー大柴の露出が増えている。やたら見る。「ルー語」ってな名前になった彼の英単語トーク、さんざん聞いてきたはずなのに「藪からスティック」には意表を突かれて笑ってしまった。くやしい。


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