改稿・泰葉会見に思う

この金屏風、もう使えないなあ

 血は争えない……今朝テレビを見て、そう呟いた方は多かったんじゃないか。思い出すのは16年前……泰葉の姉・海老名美どりが「重大記者会見」を開くと各マスコミに通知したあの事件。すわ「夫・峰竜太との離婚発表か!」と色めきたった報道陣を前に、美どりはひとこと「小説書きましたー!」。晴れやかに報告するその表情と裏腹にブチ切れるマスコミ、あの会見が鮮明に思い出されましたね、泰葉・金屏風離婚会見。うーん……姉妹で芸能史に残る「珍・会見」を開くとは……ある意味、偉大だ。


 ていうか……「一番父親似は泰葉だったのか!」というインパクトに何よりも驚愕。連発する申し訳なさそうな表情を見るにつけ、ある年代以上の視聴者たちは同時に「どーもすいません」と心で言ってしまったはずだ。いいや言った。やはり女の子って父親に似るんだなあ……断言するが、これを機に泰葉はドンドン三平に似てくるはず。この人はあの会見で、何かの堰を切ったのだ。


 名言その1:(18年間師匠に仕えてきました、思い残すことはないと言い切る泰葉に記者が)「夫婦愛を感じるときはどんなときだったんですか?」との質問に対し「それがないから、こうなっちゃったんでしょうねえ」
 
 そしてあの「どーもすいません」という表情と仕草……完璧としかいいようがない。ネタか。脇で聞く小朝の表情が見るに忍びないというか、それいっちゃあ、お仕舞いよというか。18年間幸せじゃなかった、という「切り口上」を全国に向けてやったのである。あんぐり。さらには「父の命日に別れを切り出した」ってのも恐ろしい。「女の決意」「出船感」漂う演出である。やはり芸人の子だ。
 怖い。何が怖いって、単純に「女の復讐」、とか「積もり積もった怨念」を感じて、怖いんじゃあない。
 うーん……誤解を招きそうだが、ここのうちの「おんな」ってのは、どーにもパラノイア的傾向が強いんだよなあ。妄執癖、とでもいうか。姉・美どりは特にその性質が顕著で、過去に様々な武勇伝というか、逸話を残している。美どりが「浮気をした」(ということが決定的にバレたのか、疑惑かはわからないが)峰竜太に対し、いきなり「刺しちゃった」という事実。「おしゃれカンケイ」に登場した折、マルシアの言葉遣いが癇に障り(これも意図的なのか、日本語が下手ゆえなのかはわからないが)、いきなり収録中に激昂、泣き出したマルシアに「何泣いてるのよ、あなたみたいなタイプって一番嫌いなのよねえ!」と執拗に攻撃し続けた事実。これはオンエアを見ているが、本当に怖かった。「手がつけられない」タイプの激昂、その異常なテンションは忘れられない。 そう、そんな姉と共通する「たぎる血」が、この会見からは感じられた。それも姉のように直情的じゃない、冷たくたぎるタイプの「血」を。

 名言その2:「この会見をなぞかけでいうと、師匠どうなりますか」(という質問に対し、口ごもる小朝、正蔵、いっ平を抜いて泰葉が)「この会見とかけて泰葉ととく。そのこころは、小朝(こわさ)知らず」
 仕込んだな。そうとしか思えない。記者に「そう質問してね」と仕込んだとしか思えん。それほどに、見事だ。昔「古今和歌集」とかの授業で、幾重にも掛詞が重なってる句の解説を聞いたときみたい。もしこれが当意即妙に作られたのだとしたら、天才だ。ひょっとしたら男兄弟の才能、全部こっちにいってるんじゃないか。まさかと思うが……NHKの落語朝ドラ「ちりとてちん」を見てるうち、「あたしのほうが断然うまいわッ!」と、いてもたってもいられなくなったんじゃないか。さらにまさかだが、小朝を見るにつけ「うーん……思ったより伸びねえなあ、これならあたしのほうが」とか思ったんじゃないか。何年か後、泰葉は天才的な女性落語家に成長。そして小朝独演会に自分の会をぶつける……なんて復讐劇、ひょっとしたらひょっとするか。あ、なんでだか分からないが「三平が降りた」んじゃないだろうか、泰葉。この「壊し方」もしくは「壊れ方」はそうでも思わないと納得できない。
 このうちには「破滅」の血が流れている。それも女子だけに。その因縁めいたものが、怖い。


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