「大忠臣蔵」

音羽屋

 素晴らしい!


 はじめてこんな大きい文字を使ってみました。これは多分テレビ東京が映る地域限定の情報ですが、時代劇・歌舞伎好きなら絶対に見逃してはなりませんよ。午前11:35からの「時代劇アワー」を! 1971年に日本テレビで作られた民法初の忠臣蔵らしいのだけれど、これがまあ豪華そのもの。演技が素晴らしいったらありゃしない。

 主要キャストは大石内蔵助三船敏郎、りくが司葉子浅野内匠頭が今の尾上菊五郎瑤泉院佐久間良子。書いていくとキリがないのだけれど、これが豪華顔合わせに終わっておらず、おのおののシーンの情感の濃さ、その密度に胸打たれてもう……まあ今が特にドラマティックな頃ってのもあるんですが。おとといは松の廊下、内匠頭が切腹のシーンだったのだけれど……ああ、年取って涙もろくなったのを差し引いても、思い出すだけで涙がにじんでしまう。片岡源五右衛門を演じた江原真二郎がねえ…いやはやなんとも、素晴らしいんだこれがっ! お主(おしゅう、と読む)が引っ立てられる際、これが永の別れと拝謁つかまつる時の目、その悲しみと無念。万感の思いが溢れ出てるその瞳。主を慕うその「まなこ」がなんというかまあ…忠犬のように純粋で、まっすぐで、哀れで。一瞬の芝居に人間関係の深さ、歴史をにじませること、これが俳優の最も優れた技術の一つだと思う。その点でじ・つ・に見事であった(と、なんだか時代劇口調に)。それを受ける若き音羽屋もまた素晴らしい。情がありつつ、若殿としての品位をもって去る。引きの美学…ああ、また涙が。いやー必見ですよ、でもズタズタにCMが入ってくるので、私は録画してまとめ見をするつもり。


○冒頭写真
尾上菊之助(当時)。美の盛り時分の花。きらきらしい、という形容詞がまさに似つかわしく、芝居も見せる。舞台の演技をテレビの尺でまとめなおすような巧さをのぞかせて、むしろ今より器用なのではなかろうか。


 堀部安兵衛を演じる渡哲也。ぱっつんぱっつんのピッチピチ。これがまたいい芝居するんだなあ泣かされちゃいました。内匠頭の妻に殿中の出来事を知らせるシーン、その無念と悲しみが無言のうちに広がり、胸が体が、悔しさであふれるようなその情感。もう私思い出すだけで涙が……。


 淡路守を演じる中村錦之助、かーーーっこいいんだこれが! この顔見てくださいよ、まるで大凧に描かれた役者絵のように豪快で、端正そのもの。芝居もまさに痛快、殿中で吉良に「わが家紋を不浄の血で汚すとは、許せん!」と扇子で打ち据えるところなどカタルシスのきわみ! 私は泣きながら「もっとやってー、錦ちゃん!」と叫んでいた。


いやーまあ「1971 大忠臣蔵」で検索し、ウィキを見てください。ヤケクソみたいな配役にしびれること必至!


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