「現代人」「からみ合い」最近のビデオ雑記

意味なく飾ってみました

「さっきファックしといたよ、ファック!」
こんなセリフを、けっこう大きな声で携帯片手に仰ってる方がいらっしゃいました in 渋谷・神泉。すごい町です。さすがラブホテル街は円山町の隣、昼間からお盛んです。アホか。電話の向こう、「ファックス」を送られた相手はどう思って聞いているんでしょう。ああどうでもいい。
 今日は最近みた映画ビデオの記録日記です。うーん……なんか下品な前説になってしまった。口直しじゃないけど、こないだあんまり綺麗だったので買った花を飾ってみます。今のうちの玄関の光景。

■「現代人」 1952 松竹 監督:渋谷実
好み、といってしまえばそれまでなのだけれど、私は映画が「社会」を描こうとするのが嫌いだ。社会や問題提起、というのはにじみ出るもので、訴えるものではないと思うから。この作品は「社会は腐っている!」「人間とは」と大声でがなり、ずーっと懊悩している。スッキリと様子のいい池部良が主演なのが救い。しかしこの頃の池部良はなんといったらいいのだろう、ヨーロッパ的な洗練と日本的ダンディズムが混在しつつ、どこか少年のような甘さが残っている。本当に稀有な俳優さんだ。


■「からみ合い」 1962松竹 監督:小林正樹
岸恵子がどれだけスタイリッシュで美しかったか、それを存分に感じさせてくれる隠れた一作。陰影を強調し、音楽はモダン・ジャズ。フィルム・ノワールを相当意識したサスペンスだが、出来は残念ながら凡庸。しかしそれを補って余りある岸恵子、その輝き! オートクチュールっぽいカッチリしたスーツに身を包み颯爽と歩く姿、それだけでホレボレしてしまう。男から「お手当て」を貰ったのち、「このお金はパッと使ってしまおう……明日、ゲランの一番高い香水を買いにゆくのだ」というモノローグが入るのだけれど、45年前にこのセリフが言えたのはケイコ・キシただひとりだろう。


■「」 1957 松竹 監督:大曽根辰保
岡田茉莉子がファッションモデルの役をつとめる。またそれが、まーーーったく違和感がない。それほどにこの作品における彼女は美しい。ときにアニメーションのごとき美貌、絵空事のように綺麗だ。事実、中原淳一プレゼンツのファッションカルチャー誌「それいゆ」(1946〜1960)にはモデルとして度々登場していたよう。しかし、それ以外ほとんど印象に残らない作品でもある。あ、助演の千石規子が素晴らしかった。
 この人は「ちょっとつまらなそう」にしているときが一番うつくしい。


■「ゼロの焦点」 1961 松竹 監督:野村芳太郎
「犯人はお前だ!(ザッパーン)」ってな断崖絶壁での犯人追求、サスペンス定番スタイルのさきがけとなった作品なんだそうだ。久我美子有馬稲子共に好演だけど、特筆すべきはやはり高千穂ひづる。少々やりすぎ感はあるものの、戦後「パンパン」からのし上った女の哀苦を滲ませて見事。今手にしている幸せを離したくない、あの貧しさに戻るのはもう嫌……それが見栄や虚飾でなく、最低の生活を味わってきた人間の切ない叫びになっていた。


○今日は何の日
穏やかな月曜日。先日のビートたけし版『点と線』がよかったので、昔の映画版を見直したくなって借りてくる。高峰三枝子の冷たい美貌、うーんシビレル! というか随分違う演出だったんだなあ、すっかり忘れていた。映画史からは忘れられた存在かもしれないが、「月丘千秋」という女優が綺麗なんだわ。名前から分かるかもですが、姉が月丘夢路。姉は明るい煌(きら)びやかな美貌だが、妹はそれこそ月のように怜悧で、どこかはかなげな美しさ。出番は少ないが、確かな印象を残す。あと、山形勲のイヤーな男ぶりも巧い。そのほか、銀行に行って口座を作ったり、本を読んだり。松涛「砦」でとんこつラーメン。


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