すれ違う人々・その1

バイリンガルという言葉も懐かしい

 ガタンと音がして電車が揺れ、目が覚めた。ふと顔を上げると、向かいの席にいたのが田丸美寿々。夢うつつから美寿々……その瞬間「確かあなたは少女時代『ローラースケートのジュディ』というあだ名だったはず」というフレーズが思い浮かぶ(サンフランシスコ滞在時代のニックネーム。得意だったんだそうだ)。白っぽいニットにグレーのダウン、大振りのメッシュのバッグ、そしてあのボリューミーな髪型……間違いなくあなたは美寿々。その昔は美里。うーん……普段から目力(めぢから)強いわ。ササーッと消えるように降車してツカツカ歩いていく美寿々。なんとなく、「ありがたや」という気持ちになった。
 こーいうことが本当に私は多い。「電車で寝ててフト起きると前に有名人」というパターン。以前ブログにも書いたが、「誰かすごい勢いで飛び乗ってきたなあ」と思い顔を上げると「沢口靖子」がいた。その瞬間「あなたのポットは使いやすこ!」という懐かしのCMフレーズが思い出されたが、そんな私に気づくでもなく、靖子は必死に台本と首っ引きでセリフを覚えていた。あ、日比谷線で「顔を上げたら東海林のり子」ということもあった。そのときの衝撃は忘れられない。向かいに座ってらしたんだけど……ああ、本当に失礼ですが……「おきもの」かと思いましたね、完全に座った状態で上下バランスが「1:1」、それが今目の前で息づいている! 「鎮座まします」「盧舎那仏」「こけむしている」とか、そんなワードが次々に思い浮かびました。現場の白央がお伝えしました。
 と、美寿々からそんなことを思い出していたら、その次の日。自宅近くの渋谷・神泉付近にて、向こうから歩いてくる人が「奈美悦子みたいだなあ、よーく似てるわ」と思っていたらビンゴ。似てると思ったら本物だった、というのは人生初めて。これってびっくりですよー、「ジイサンが『これは雪舟の掛け軸じゃ』と言っていて親戚じゅう『ホラだ』と思っていたら本物だった」みたいな驚き(違うか)。私、育ち悪いですね……すれ違ったとき「ほんものだ!」と声に出してしまいました。申し訳ありませんありません奈美さん。どうみてもあなたはスッピンでしたが、お肌本当に綺麗でした。美寿々ときて悦子とくる、そんな二日間。今日私は誰とすれ違うのだろう。


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