すれ違う人々・その2

バーサーカー

 渋谷センター街は、私にとってひとつの「魔境」である。といっても、「ガングロという名で呼ばれているが、どうみてもドラゴンクエストⅡに出てくるバーサーカーにしか見えない女がまだ生息している」からとか、そーいう分かりやすい理由ではない。私にとってこの街は、「すれ違いの魔境」なのだ……。私の前を通り過ぎていった面々が、(ある意味)凄い。
 渋谷・ロフトが人のざわめきで揺れていた。ザワワ……森山良子が歌でも歌っているのかと思いきや、振り返ると「大きな布のかたまり」が揺れている。その布は細かい「ひだひだ」がタップリある「プリーツ」と呼ばれる素材……そう、かの有名なイッセイ・ミヤケの「プリーツ・プリーズ」だ。黒・紫を主体としてアクセントに赤が用いられたプリーツのかたまり、それは振り返れば「美輪明宏」! ぎゃあ! 
 私はあそこまで「テレビと同じメイク・ヘア・衣装で買い物をする人」をかつて見たことがない。オーラの泉の半径2メートルぐらいのところに私はいたが、むせかえるような香水の「うねり」が鼻孔の奥底まで瞬時に到達した。テロかと思った。美輪さんは浮遊するかのようにスーッと、ロフトの出口に消えていった。しかし、そのフレグランスが完全に館内から消えたのは二日後だったという。
 (つづく・次回はは小川眞由美編です)


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