よくきく「ラブレ」と安彦麻理絵さんのこと

しかし小百合……綺麗だ

「増えてます」
 吉永小百合さんの静かな言い切りにノセられて、私も最近飲んでます、ラブレ。いやー……こっからいきなり尾篭(びろう)な話です。食事中の方は要注意。
 出るんだな、これが。何が。いやアレですアレしかない。夜飲んで寝ると、朝違うんですね(注:あくまで個人の感想、とCMでおなじみの文句を一応)。しかしまあ……なんともアレが「立派」すぎて、難渋するんだなこれが。最近、朝私はひとりふた役、こころの助産婦を付けながら「イキんで、白央さん!」「もう少しよ!」「子宮口全開!」などと、ドアホウなセリフを自分にかけつつイキんでいる。


 どうでもいいついでに、この「イキむ」って言葉。英語でも出産時には「Push, push !」というようですね。さらにフランス人の友人に聞いたら「あー、うちのほうも pousser (英語だとpush)っていうよ」とのこと。「イキんで!」「プッシュ!」「プッセ!」……三都物語
 さて最近、イキんでプッシュしてプッセした方がひとり。友人で漫画家の、安彦麻理絵さんが見事出産……無事にすんで本当によかった。おめでとうございます。


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 と、いっきなり話は変わるようですが、皆さんは「胎教」というものについてどうお考えですか? ええ、モーツァルトをお腹に向かって聴かせたり、「ぐり と ぐら」を胎内に向けて朗読したり、とかそーいうやつ。
 私はこのことについて何の定見もないのだけれど、安彦さんの出産前の見聞録を聞いて、さすがに「胎児に影響は……」と青ざめ、そして大笑いしてしまった。
 すんごいですよラインナップ。まず確か「土曜ワイド劇場・江戸川乱歩明智小五郎シリーズDVDボックス」(なつかしの天知茂主演のやつだ)を購入。さらに臨月にいたっては横溝正史の「悪魔の手毬唄」「獄門島」「八つ墓村」でハットトリック。多分このへんは何度も観ているはず……彼女にとっては「必須アミノ酸」みたいなものなのだろうか。そして出産直前には勝新太郎の「座頭市」、たたみ掛けるように読んでいた本が「細木数子・魔女の履歴書」。もう最高!
 と、書くとまるで安彦さんが「オカルトマニア」「古賀新一先生も真っ青のホラー漫画家」みたいだが、全然違います(笑)。なんていうか……「アチャーな人たちの観察」が好きなんだろうなあ。先にあげた作品群って、過剰にデフォルメされているけれど、「人間のむき出しの欲求」をうまくカリカチュアライズしたものばかり。人間は、誰しも「他人からみたら素っ頓狂だろうけど、私にとってはあくまでリアルな欲求とネイチャー」ってもんがある。そこらへんは相当仲良くならないと教えあわないし、人によっては夫婦だって死ぬまで隠すこともある。
 だから、面白い。ヒッチコックの言葉を借りるまでもなく、そのへんを「のぞき」見することが、映画や本の最大の魅力だと私は思う。彼女の近著「おんなのこの正体」にもたくさんその種の人々が集められているけれど、そういったものに対する彼女一流の「のぞき欲と観察眼」は……ひとこと、「べらぼう」だ。
 しかし……「人間ってこんなに種々雑多・奇々怪々なんですベストサンプル」みたいなものを、「生前から門前の小僧」してしまったショータ君(新生児)。どんな興味が彼の心に萌芽していくのだろう。まったく新しいタイプの育児漫画が誕生する日も……近い!?

おんなのこの正体

おんなのこの正体

 雑誌「サーカス」での連載をまとめたもの。私のブログが好きな人なら好きなはず。


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