追悼:ヒース・レジャー、片岡球子

安らかに

 なんだって! なんだって? なんだって……どうしてだ。どうして。俳優のヒース・レジャーが死んでしまった。死んだのだ。冗談じゃなく。もう、いないのだ。
 大ファンだった、というと嘘になる。でも、映画『ブロークバック・マウンテン』の彼は本当に素晴らしい演技だった。「魂と寄り添って生きる」その決意を表情だけで感じさせ、現した彼の名演がまだ、まぶたに焼き付いている。あの人がもういない。あの役者がいない。それだけで、悔しい。かなしい。もったいない。
 小津安二郎は、息子のごとく目をかけていた若手俳優高橋貞二がなくなったときひとこと、日記に書き残した。
「馬鹿なやつだ」、と。私はヒース・レジャーと一面識もない。けれどほんとうに、そんな気持ちだ。
 そして日本画家・片岡球子さんのおくやみも。こちらは103歳とまさに大往生だが、いやー……大好きだったんですよ、彼女の絵。その色使いのはなやかさ、そして、なんのてらいもない自然さ。彼女の描く山の絵は本当に伸びやかで、おおきくて、うつくしかった。
 私は、芸術というものは「僕には世界がほんとうにこうみえるんだ!」という気持ちの、正直でまっすぐな発露に他ならないと思っている。それを感じさせてくれる、数少ない一人だった。
 あまりにも若い才能と、天寿というものを感じさせるほどの長命だった芸術家。
 ご冥福をお祈りします。あなたたちを忘れません。

 富士山は彼女のライフテーマだった。小さいのに無限に雄大だ。おおきいなあ。

 傑作。

[記録]
[ニューヨーク 22日 ロイター] オーストラリア出身の俳優ヒース・レジャーさん(28)が22日、米マンハッタンのソーホー地区にある自宅で死亡しているのが見つかった。ニューヨーク市警によると、死因は薬物の過剰摂取の可能性があるという。
 警察のスポークスマンによると、家政婦が現地時間午後3時26分、マッサージの予約を入れていたレジャーさんを起こそうとして、死亡しているのを見つけた。自宅にいたのはレジャーさんと家政婦だけだったもよう。
 同スポークスマンは「ベッドの近くには錠剤があった」と語った。
 レジャーさんは2年前(訂正)、映画「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたが、同作品で妻役を演じ、私生活でも娘をもうけた交際相手、女優ミシェル・ウィリアムズさんとの破局が報じられていた。

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