「YouTube」というこの便利なシロモノ

マルタ・アルゲリッチ

 モゾモゾ・ゴソゴソ。
 気持ちの深いところで、変な「うごめき」をいつもチョロッと感じてしまう。それは「YouTube」という、えっらく便利なシロモノを使うたび感じる、とある違和感。
「この演奏、素晴らしいから聞いてみてください!」
 そんな気持ちから、このブログでも何回か動画の紹介もした。ものすごく便利だと思っているし、事実よく見ている。でも、そのたびに心の奥底にひっかかるものを感じてしまう。
 自分のために、ちょっとそれが何かを探ってみたい。


 私が大好きなピアニストのマルタ・アルゲリッチや、半引退状態の歌手、ちあきなおみ
 彼女達の昔の映像や、ライブが無数にアップされている。夜中、一杯引っ掛けてゴキゲンなときにYouTube検索なんしちゃうと……いやまー大変なんだこれが。
 ズーーーーーーーーーっと見てしまう。ちあきが歌って、マルタが弾いて、ハートランドのビールで一杯やる宵。ああ、贅沢! しかも全部タダ。ビールもうひと缶開けちゃうもんね、くはー最高。
 でも、ねぇ……。そのとき感じる、変な「モゾモゾ」。いつも「まっ、いいか」と流してしまう違和感。
 いや、版権の問題じゃないんです。それはそれで大事な問題なんだけど。私が今自答せんとすることは善悪の話じゃない。


    ■ ■ ■ ■ ■


 これじゃ若い子達って、「思いをためる期間」がなくなっちゃうだろうなあ。
 ひとことでいうと、そんな感慨にとらわれる。それは、ある種ノスタルジーなのかもしれない。パフォーマーに対して「好き」という感情を持つことは、「思いをためた結果」に他ならないと思っているから。
 

 テレビCMやたまたま流れていた歌番組などなど、日常の中で起こる、ちょっとした偶然の出会い。
 おっ、この曲誰だろう。いいな。気になるな。買ってみようかな。買っちゃった。聞いてみよう……いいな。もう一回、聞こう。もう一度、聴こう。また違うのを買ってみよう。テレビに出てるかな、探そう。録画しよう。ライブがある、行こうかな……。
 そんな時間と行為の蓄積が、好きという思いを強く、深いものにしていく。そういったことが、YouTubeによって、ドーンとカットされているような気がしてしまうんだ。
「そんなことないよー、YouTubeがきっかけで好きになって、ライブに行きだす人もいるでしょ」
 その通り。私は、現在活動していないちあきなおみ、滅多に来日しないピアニストを例にしているから、先のようなことを思ってしまうのかもしれない。でもなあ……。


(明日につづく)


○今日は何の日
深夜から雪が降り「♪まだ降り止まぬ」と、朝浮かれて口ずさんだはいいものの……降る降るノンストップ、夕方までズーっと降っていた。こういう日に限ってうちになーーーーんにもありゃしない。そして傘もない。傘がない。井上陽水。ようすい。羊水。倖田來未。くだらない連想をしてるとドンドン腹が減ってくる。ダメだ……無駄だけど出前頼もう。ピザーラ。「今日は悪天候のため配達しておりません」こんな稼ぎ時に……。えらくひもじかった日曜日でした。気がつけば節分。ああ拙文。


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