キネマ旬報別冊「acteur」にて―早乙女太一―

年末、ひときわ目立った表紙

「どんな振りつけでも、一度で覚えちゃうんだよ。本当に凄い子だね」  

 国立劇場には、歌舞伎俳優養成所というところがある。
 学生時代、私は一年ほどそこにモグリこんでいた。催眠術にかけられたように歌舞伎にハマってしまい、闇雲に申し込んでしまったのだ。結局、一年ほどで断念してしまったけれど。
 ただ今でも、そのときの縁で知り合った人たち何人かと仲良させてもらっている。そのうちのひとりに、何度か彼に踊りを教えたことがあるという人いた。最初のコメントは、その彼がシミジミ言っていたセリフ。続けて彼は、
大衆演劇の中でも、飛びぬけて才能あるね」
 といった。その彼の名は、早乙女太一


 滅多に人を褒めない彼(はっきりいうと、日本舞踊の家元クラスの方)の話を聞いて以来、俄然興味が湧いてチェックしてきた。テレビや雑誌で見る彼は確かに妖艶、でもどこか冷めた感じがある。それが、私には興味深かった。大衆演劇女形独得の、濃厚情念ムード。しかし、どこかクールな感じが共存している不思議。シナをつくり、ファンを喜ばせる微笑みを振りまいたかと思うと、とたんにツンとした表情をみせるときがある。
 それは、はにかみや照れというものかもしれない。好きなものを好きと言い切れない「惑い」――簡単にいうなら、ヘソ曲がりな気持ちに支配されることが、若い時分にあるものだ。プロっぽい「こなし」と初々しいニュアンス――その「配分」が、まさに絶妙。この年齢でしか匂わない「花」なんだろうな、と思った。
 はい、ここまで前置きです。長ッ! そんな彼にインタビューしました。現在発売中のキネマ旬報別冊「acteur」にて。踊りへの思い、宮本亜門演出の舞台「トゥーランドット」出演に関して。そして、これから。どうぞ興味のある方は読んでみてください。


○そしてもういっちょ
 いつものように長塚圭史さんの対談のお手伝いも。今回のゲストは戸田恵子さん。あんな小柄だとは! 私も男にしては小さいほうだが、それより遥かに小さい。なのに、テレビで見るとあのパワー、力強いオーラ! 実際お話がはじまるとまさに「はじける」という感じでハキハキ・テキパキ、ものすごくよく通る声が清々しく、楽しい。アニメ「キャッツ・アイ」の瞳の声なんだよなあ、と思いつつ聞いておりました。こちらも是非、読んでみてください。


○お知らせ
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