三浦和義は「男アグネス・チャン」である

この曲だけで30年

「一美ィッ!」
 そうやってあの人は、テレビの中でさめざめと泣いていた。
 周囲をはばからず泣いたかと思うと、
「私は被害者なんですよっ!」
 と居丈高になり、声を荒げる。そのテンションの変わりっぷりが……なんともドラマティックであった。そう、まさに「ドラマ」。
 「劇場型犯罪」ってのは、ドラマみたいな犯罪というよりも、犯人自体が「ドラマの中の人を気取っている犯罪」だと私は思っている。三浦和義のそういった「役者的テンション」――躁鬱っぽいというか、偏執的に自己愛が高いというか、今ならいろいろ言葉も出てくる。だが当時6歳ぐらいだった私は、テレビの中の彼をポカーンと、「なんか……フシギなひとだ……」という気持ち一杯で見つめていた。


 この人、ものすごいアヤしさ・ものすごい危なっかしさ、とベクトル自体は確かに「正」の方向ではないのだが、並々ならぬ「人の気を引く何か」は持っている。悪名は無名に勝るというが……いや、それ以上だ。手垢のついた表現だけど、彼は間違いなく80年代を代表する「悪の華」だもの(この言い方は三浦和義自体は不満だろう。はい、刑は確定してないんですからね。「疑惑の華」にしておきます)
 そう、華も様々。悪の華に男がなれること自体、異常なことだ。

 あ、変なこと思い出してしまった。こんなこと蒸し返さなくてもいいんだが……疑惑発覚当時「三浦がちんこにスッポリ靴下をかぶせて舞台に立っている写真」というのがあった。週刊文春だったろうか、10歳にもならない私は、それを見て度肝を抜かれた。親の買ってきた雑誌をパラパラ見ていたら、(小1からそーいう子供だったんだ、私は)いきなり「ちんこソックス」。レッド・ホット・チリペッパーズ15年も前に先取り。やるじゃん和義。
 舞台には同じような格好の男が何人か立っており、裸の女もいたような。「スワップ」だか「乱交」だか、よく分からないワードが、ページにはタップリと散りばめられていた。またこれをイチイチ辞書で引くんですね、私。母・フジエも「分からないことがあったら辞書で引きなさい」っていってたし。めくるめく倒錯の世界を知ったのは、今思えば和義が水先案内人だったのかもしれない……。って私別に今「スワップ」とかの世界にいませんけどね。冗談ですよフジエ。
 あれは白い靴下だっただろうか……まだ目に焼きついている。それ以来私の中では、「白いソックスの女」といえば「アグネス・チャン」。「白いソックスの男」といえば「三浦和義」。ただ三浦が「ひなげしの花」を持っていたら、それは誰がどうみても危ないクスリの材料にしか思えないだろうけど……。
<参考資料>

レッド・ホット・チリペッパーズ。いつもこんな人じゃないですよ。


○追記
なんか今日三浦をダシにした昭和漫談みたいですね。もっと当時感じた怪しさとか書き写してみたかったのに……。「フルハムロード」とか名前だけで何となく笑えたもの。と、いきなり話は変わります。大好きな作家の山岸凉子さんが、三浦を題材にした短編を書いているので紹介したい。彼をモデルにした男、そして女を、霊的な観点を加えてまとめてある。山岸作品らしい、その張り詰めた空気とテンションは本作も息苦しいほど! 興味のある方は是非。

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