カフェで読書、できますか。

「読書する女」好きな映画だった

 集中力がないなあ、本当にそう思う。
 よく喫茶店などで、読書や書きものをしている方を見るにつけ、そう思う。私には絶対に出来ない。気持ちのいいカフェで、ぼんやりと新訳のカポーティのページでもめくる……そんなアーバンでメロウなひとときを過ごしてみたいものだが、無理だ。


 どーしても私は、目の前を、窓の外を行き交う人々が気になってしまう。ふとした拍子に、流れている音楽に気持ちを持っていかれてしまう。本の作品世界はいつでも開けるが、目の前にある光景と音は、今だけのものだ。と、いうのが自分なりのエクスキューズだけれど……まあ、単に集中力がないのだ。


 軽く賑わった場所でも、一切と隔絶したかのような面持ちで読書に没頭している人が、たまにいる。まるで、この世にひとりのようだ。カッコいいなあ。
 そんなことを珍しくカフェでお茶をしつつ考えていたら、何か窓の向こうに動くものが。目をやれば、犬が散歩に連れられている。たまの外出、一瞬だって無駄にするものかとばかりに、キョロキョロとあちこちに目を向ける犬。目が合った。その瞬間、通り過ぎようとしたポストの足に走っていった。ニオイを嗅いで、また走り出す。
 自分も、あんな感じなのだろうか。


○そして

 駅でいうと駒場東大前。うちからも自転車で5分もかからない。ラーメン屋「嚆矢(こうし)」で夜ごはん。ここのワンタンは、とても、おいしい。いきなりラーメンもいいけれど、酒のつまみが豊富で、日本酒や焼酎も店主こだわりのアレコレが揃えられている。
 ここのキュウリ漬けと、ネギと鶏の和え物でイッパイやるのが、愉しい。説明不要で、いい。何よりもビールのグラスがいい。とても薄いガラスで出来ていて、これで飲むと味がひとつ、上がる。そんなことを思いながら、クハーと一杯やっていた。
「ちゃんとしたお勤め人ならスーツ着てるはずだもの」
「そうよねえ、髪なんか染めちゃってさあ」
 三席向こうのご婦人が、そんな話をしているのが聞こえてくる。近所の人の、噂話のようだ。
「日曜でもないのに、よくスーパーで昼間見かけるのよねえ」「結構歳もいってるはずよ」「かと思うと真夜中にタクシーで乗りつけちゃってねえ」奥さん、それはマスコミか飲食関係か芸能系です。ってその辺、「カタギ」じゃないんでしょうね奥さんからしたら。
 ひとごとではない。髪こそ染めていないが、他はすべて当てはまるではないか。私は近所の人からしたら「不審者」以外の何者でもないのだろうか。結構、自由業が多く住んでいそうな渋谷・池尻界隈でもこんなもんです。


○お知らせ
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