現代 能・狂言面 作家展

21日まで

 能面――もちろん、舞台でつかってこそのアイテムなのだろう。しかし、ただ飾られているだけでも、素敵にドラマティックな存在だ。つかわれるうちに風格を増してくる、何かが込められていく――そういうことはもちろんあると思う。けれど今回の展示会は、現代作家による新作・創作面が多くそろえられていた。大昔から様々な舞台を経た名のある「おもて」ではなく、新しき、ましろき能面。それが、私には興味深かった。
 つくり手は、何に一番心の重きを置いて、掘り続けるのだろう。面を作りたいと、作家の心を動かすものは何か。面に心をこめるのは、作家なのか、能楽師なのか。もちろん両人だろうが、その塩梅はどういうものなのか。
 中村光江さんという方が作られた「若い女」という面が、非常に印象的だった。まるで、うつしたてのデスマスクのよう。さっきまで息づいていたかのような表情。それでいて、死後のように硬直している。伝説の化物「人面瘡」というのは、こんな顔をしているのではないか、そう思った。これを能楽師がつけたときが、見たい。どんな表情になって、この面は動き出すのか。
 能面とは何か。舞台における意味論的に、衣装なのか。メイクか。小道具か。何なのか。すべて、という答えではいけないと思う。そこを知るために、能をもっと見たい。そんな心の火種のついた日だった。無料展示、というところがすごい。早稲田大学内にある演劇博物館で、もうすぐ終わってしまうが21日までやっている。興味のある人はぜひ。


○どうでもいい付記
能面を見ていて思ったのだけれど……若い女の面って、昔の化粧っ気のない頃の岩崎宏美に似ている。ああ本当にどうでもいい。しかし絶対に面つくり師は「岩崎宏美って理想の小面」って思ったことある人いるはず。だからどうした。


○行状雑記
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の試写、六本木にて。この感想はまた。主演男優賞は……これで取れなきゃ可哀相という力演。そして、この作品のD・D・ルイスに投じなければ「自分がアホに思われるかも」と思わせるような作品。まさにアカデミーチック。ラストの演出は美しく、終わった瞬間にゾクっとした感覚が体を走る。また歩いて帰る。今日は青山ルート。フェリージのショップを見つけて、しばし買い物。夜ご飯は家で餃子を焼きました。パラダイス山元さんのレシピ本通りに焼いたら、本当に上手に焼けた!
 ひょいぱく、ひょいぱく。
 



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