イチ推し!『モンテーニュ通りのカフェ』

究極的に私好みな一本

モンテーニュ通りのカフェ
渋谷・ユーロスペースにて公開中。
公式HP http://www.montaignecafe-movie.jp/ (音が出ますので、ご注意!)
監督は『ブッシュ・ド・ノエル』『シェフと素顔と、おいしい時間』(ジャン・レノジュリエット・ビノシュ主演)のダニエル・トンプソン。共演にヴァレリー・ルメルシエ、シドニー・ポラックほか。

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 優しかったおばあちゃんの眼差し。小さい頃、昼寝をしていた僕の背中を、ポン、ポンと軽く叩いた、母の手。お父さんにおんぶされたときの、背中。好きな子がはじめてしてくれた、頬へのキス。人生でたまに起こる、たまらなく優しく、嬉しくなっちゃうような「感触」。この映画を観ていたら、そんな「ぬくもり」が折々によみがえってきた。大好きな人たちに囲まれているかのような、安心感。観ているうちに、そんなくつろぎの気持ちに満たされる。描かれる登場人物たちの、なんと愛おしく、おかしく、実直なことか。
 祖母と娘、老いた父と息子、恋の始まり……多くのエピソードが交差するが、ラストはみんなハッピーエンド。「ぬるいタイプのハートフル・コメディ?」などと思わないでほしい。見るうちに、彼らの幸せな結末を祝福したくなるような暖かいフィーリングが、この映画には詰まっている。
 そして特筆すべきは、主演のセシール・ド・フランス。うーん……この映画を観たら、誰でも彼女のこと好きになっちゃうんじゃないか!? それほどに本作の彼女は可愛く、キュートで、輝いている。シンプルにひとこと、めっちゃくちゃ可愛いぞセシール!!!

 不思議な「ノン・セクシュアリティ」がある女優さんだなあ。オードリー・ヘップバーンのような、性的な匂いを感じさせない、何か。彼女、劇中ホントに短いカットなんだけどベッドシーンがあるんですね。なのに、ちっともヤラしくない。爽やかですらある。
 ヘップバーンがかつて「妖精」といわれたように、彼女にもそれに通じる天分を感じてしまう。オーバーなようだが、この映画の彼女はまるで「天使」のようだ。関わる人たちがみんな、幸福を授けてもらったかのように、ちょっとずつ人生が好転していく。「それもこれも、セシールと出合ったからかもなあ」と、観るものに納得させるチャームがこの女優には溢れている。って絶賛し過ぎですね……うーん恥ずかしいが、私も久々に映画で女優に「惚れて」しまった。彼女の新作が待ち遠しいぐらい。
 ともかく、超個人的だが強力にお薦めしたい一本! 連休、どこも混んでます。ユーロスペースでゆったり、ヨーロッパの香りにひたるのはいかがでしょう(笑)。一銭ももらってませんが、どうにも惚れこんでしまった作品なので、多くの人に観てもらいたい。


○行状記
午前中からアクアビクス。体スッキリ。夜は編集・ナカガワさんと、カメラマンのカタオカさんと打ち上げ。恵比寿「魚豆根菜 やまもと」にて。野菜と魚のストレートな旨さ、素材の良さが直球で投げられてくる。ピンクアスパラ、という生で頂くアスパラの感触が面白い! そのほかフキノトウを素揚げし、みじんにして炊いたアサリと和えたものが印象的。素晴らしい日本酒のアテになる。接客も中々、板前さんたちの快活さが楽しい。その後ナカガワさんは仕事へ戻り、私たちは広尾の「キッサコ」に移動。コチのカルパッチョをアテに白ワインを飲んでいたら、ホールの方が「以前お会いしましたね」――脳内グーグルをフル回転させたが、ちいとも分からない……こういうときは早めに謝るに限る「ごめんなさい! どこでお会いしましたっけ……」「中目黒のベネンシアで……」この瞬間にグーグルが「1ヒットありました」と出る。遅いっつーの。あああそうだ! よくもまあ覚えていて下さった。ここの方だったのか……失礼しました。楽しい春の夜、風も肌寒くない穏やかな午前2時。
 
「キッサコ」で頂いたブシャール・ペール&フィスのムルソー。香り高く、澄み切っていながら、しっかりとした果実感。上品このうえない香り。幸せでした。


○お知らせ
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