『最高の人生の見つけ方』

矍鑠老人ふたり

 ジャック・ニコルソンモーガン・フリーマンという大顔合わせ、そしてロブ・ライナー監督作品といえば、確かに期待も高まろうというもの。しかしこの映画は、私にはスターがはしゃいで、贅沢をして……それだけの映画にしか思えなかった。 ありきたりなセリフ、デジャヴ感あふれる展開――到底『スタンド・バイ・ミー』を作った人の映画とは思えない。期待が高かっただけに、残念だった。なんの先情報もなくみたら……いや、やはり同じことだと思う。もしも主演二人を、大変有能で優れた俳優だが無名の人が演じたとしたら……そう考えると、やはり成立しない企画だと思う。
「バチェット・リスト」――簡単にいうと、「棺桶に入る前に成し遂げたいこと」を書き出したリストのこと。余命六ヶ月と宣告された二人が、次々とそれらを実現させていく。高級車に乗る、スカイダイビング、世界で一番の美女にキス……全部“にぎやかし”にしか見えない。物語を楽しく彩るための、お飾り。見た目は綺麗だが、中身は空っぽのクリスマスツリーのラウンド・ボールのよう。『八十日間世界一周』を見たときにも、こんな気持ちになった。
 まあ、正直にいって私も、元気なジャック・ニコルソンを見るのは楽しかった。彼の暴れん坊ぶり、毒を吐いたりするさまは「まだまだ元気」と嬉しくなるもの。が、それだけ。唯一光っていたのが、ジャックの秘書役の俳優、ショーン・ヘイズ。アメリカでは有名なコメディ俳優で、人気テレビシリーズ「ふたりは友達? ウィル&グレイス」のジャック・マクファーランド役で注目を浴びた人。少ない出番とセリフながら、存在感強く、それでいて邪魔にならない。ラストシーンの荒唐無稽さが「この秘書ならまあ……そのぐらいできるかも!?」という(本当に強引だが)説得力をもたせたのは、この人のおかげ。
 ショーン・ヘイズ

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