稲森いずみ賛!―篤姫雑感2―

妖気すら漂って

「思わぬ儲けもの!」
 心の中でそう呟いてしまった。「篤姫」で筆頭御年寄・滝山を演じる稲森いずみ、ことのほか素晴らしい存在感を放っていて見逃せない。
 その涼しげな美貌に漂う、冷感な女の風情。月の光に輝くブラックオパールのようだ。「大奥」という伏魔殿がもつ酷薄なイメージにピッタリ重なる。何事が起ころうと眉ひとつ動かさず、「柳に風」といった雰囲気の女。最近ちょっとコミカルな味わいを付け加えたが、そんなことはせず、怜悧な女のままで貫いてほしい。
 彼女を見ていたら、若い頃の「久保菜穂子」を思い出した。あのツンとした風情に、「水野久美」の色っぽさが加わったような感じ。「なんでそんな古い例え?」と思うかもしれないが、今のタレントにない「女優さんらしさ」というものを彼女に感じるからだ。どこか仰々しく、大きくて、女優であることにキチンとプライドをもっている感じが見てとれる。
 昨年のお正月、「瑶泉院の陰謀」から時代劇の似合う女優だと思っていたが、これからますます出番が楽しみ。もっともっと、冷たくやっていただきたい。今日は「篤姫・大奥の人々」の感想スケッチ。

○これまた見事なキャスティング・鶴田真由さん
 毎回登場するたび、「こういう女が一番やっかい」というフレーズが思い浮かぶ。側室のお志賀を演じる鶴田真由。なんと素晴らしい配役だろう。この女優の持つ「ソツのなさ」が見事に活かされて、女の嫌らしさを表現している。ただ黙ってニコッとし、将軍に寄り添う。
「私はただ公方様をお慕い申しているだけです……(ニコッ)」
「お側にいられれば……(ニコッ)」
 そういいながら花びらをかじり、「このほうがより春の香りを感じられます……」とかなんとか。 
 カーーーーーーッ! 合コンで「ミモザ」とか頼みそうな女。そして絶対に酔わない女。いじると「やめろよ」と男がすぐ守ってくれそうな女。それが、お志賀。しかし女優のキャスティングが素晴らしく的確なドラマだ。余貴美子ともさかりえ真野響子……渋いけどすべて的確。チーフ・プロデューサーの佐野元彦、ブラボー!


○そのほかのみなさん
本寿院:高畑淳子さん
 いつも見るたびに、「提灯お化け」をなぜか思い出してしまう。

参考資料:「提灯お化け」


歌橋:岩井友見さん
 いつも見るたびに、「独占! 女の60分」とか思い出すのは私だけだろうか。ほとんど為所のない役だが、不思議に存在感があるのはさすが。今日放送の回では「高畑淳子岩井友見松坂慶子・稲森いづみ」の四者会談があった。ひえええぇぇぇ……こんな「絵面(えづら)」が見られるのも大河ならでは。議題は「篤姫のニュー・ヘアスタイルをどうするか」これだけ。よく考えたら今回の話、「姫の髪型とファッション、そして一回でも多く殿と契るにはどうしたら」これだけの回だった。大奥……。


○追記
 もう紫陽花が咲き始めた。夜は雨にぬれて。綺麗だなあ。


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