なぜか「加藤治子」について考えてしまった水曜日

変なトリミングですいません

 「すっとぼけ」――女優・加藤治子の魅力をひとことでいうなら、これしかないと思う。缶コーヒー「ジョージア」の新CM、ご覧になられましたでしょうか。「ジョージア!」と治子の声でCMが終わるたび、なんとも不思議な笑いがこみ上げてくる。ミョーに愉快な気持ちになっちゃうんだなあ。仕事でつらいことがあった青年が、つかの間夢を見る。すると天国のおばあちゃんが慰めてくれる……といったごく単純な話だが、加藤治子が演じることで生まれてくる、いいようのない可笑しさとはなんだろう?
 今日は常々感じていた加藤治子賛を。
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 先に書いた「すっとぼけた」感じ、彼女の特質はこれに尽きる。それは、「人を喰ったよう」という表現に集約されるというか。このニュアンスを女の人が出せるというのは、稀有なことだ。例えるなら、確信的に「老人演技」をしているときの森繁久彌松村達雄の雰囲気に近い。もうちょっと一般的に分かりやすい人で例えるなら、「おひょいさん」こと藤村俊二にも似通うものがある。飄逸、という言葉が似合う数少ない女優だ。
 昨年公開された阪本順治監督作『魂萌え!』では、そのキャラクターがいかんなく発揮されていた。ビジネスホテルに泊まっては、知り合った客から小銭を稼ぐ不思議な女。彼女はいつも、非現実的なキャラクターを易々と自分の手の中に入れ、リアりティを持たせてしまう。それをサラッと、ユーモアの膜で包むことも忘れない。『魂萌え!』は久々の「女性映画」だ。興味お持ちの方は、是非ご覧になっていただきたい。(私も以前ここで感想を書きました。よかったら、こちらへ。
 いつも飄々とした役ばかりじゃない。かつてNHKの朝ドラ「君の名は」では、鈴木京香演じる真知子に女の業を燃やす姑を演じていた。それがまた結構この上なく、女の怖さ、はらわたから迫る執念のようなものを垣間見せる巧演だった。まこと名女優だと思う。
 うーん……女優さんに歳のことなんて失礼を承知だが、現在86歳というのが驚異的。声の「艶」と演技の「色気」が、不思議にいつまでも枯れない人だ。間違いなく日本で今一番ファンキーな80代、ハレルヤ治子!


○ちなみに
そのジョージアのCM、こちらで見れます。
公式サイト http://www.georgia.jp/info/cm/heaven/


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