シドニー・ポラックと福岡の天袋女

ちょっと「ばんばひろふみ」に見える…

 「ええっ!」思わず声を出してしまった、ネットニュースの訃報欄。シドニー・ポラック監督、急逝の知らせ。このところ『モンテーニュ通りのカフェ』『フィクサー』と出演作が立て続けに公開されたばかりというのに。監督・俳優・プロデューサーと、どの分野でも話題作・佳作をのこされた方だ。10ヶ月前にガンと診断され、あっという間の急逝だったよう。享年73歳。
 真っ先に思い出されるのは……私はやっぱり『トッツイー』(82年・監督・出演)だなあ。おぼろげに淀川長治さんの解説も覚えているので、「日曜洋画劇場」で見たんだと思う。当時8歳だったと思うが、充分「おもしろーい!」とワクワクした。ダスティン・ホフマンがちょっとした「嘘」をついて有名になり、ドンドン後戻りできない状況にハマっていく。テレビの前で 私は、ゲラゲラ笑っていた。
 もちろんガキだから、細かいことは分かっちゃいないんだろうが、あのとき感じた「楽しさ」は強烈に印象に残っている。この「細かいことは分からないけど、楽しい!」というのが素晴らしいのだ。映画の傑作って、そういうものだと思う。
 子供の頃に、そんな楽しさを感じさせてくれて、ありがとうございました。どうぞ安らかに。
 「ダスティンの女装が上手で女に見えた」ということではなく、「アメリカには年ゆくと男に見まごうタイプの女が少なくない」という点で女装が成功した一本。ちなみにこの頃のジェシカ・ラングは本当に可愛かった。あんなに強くなるとは……。


○福岡県の「天袋女」
 このニュース、ご存知の方も多いでしょうね、福岡県志免町の奇妙な事件。あらましは、こう。
一軒家に住む男性(57)が、「なーんか最近、冷蔵庫の中の食べ物がなくなるなぁ……」と不審に思い、監視カメラを設置。すると、女性(58)の姿が! 警察に通報、なんと天袋に隠れている女を発見。数ヶ月住み付いていたという……!
 私がこのニュースで真っ先に思ったことは、「この女……いびきかかないんだなあ」ということだ。ああ、うらやましい! 私ならソッコーばれること必至だ。
 私のいびきは、文字通り「破壊的」なんだそうだ。イビキ・カタストロフィ。これまで友情に亀裂1回、恋愛で亀裂2回、破壊1回という惨憺たる有様なんだもの。思い起こせば、卒業旅行。夜中に私はものすごい衝撃を感じ「地震かッ!?」と飛び起きた。見れば一緒に旅した友人・ケンタが隣ですごい形相で立ちすくみ、「うるせえんだよっ!」とひとこと。地震は、奴の渾身のケリだった。窓側と通路側、ベッドを思いっきり離して、その日は寝た。旅行中は「俺より先に寝ないこと」と約束させられたのは言うまでもない。
 何回目かのデートではじめてうちに来たAも、就寝後「とても一緒に寝られない」と、夜中にそそくさとタクシーで帰っていった。雪の日だった。残された一人のベッドが寒かった。あの子からの連絡は、それで途絶えた。
 と、そんなことはどうでもいいが、このオバハン、寝息が静かだったんだろうなあ。そうでなくて、どうして何ヶ月も天袋で暮らせよう。「屋根裏の散歩者」を思い出した人も多いだろうけれど、この手の事件で、まったく偏執性やセクシャルな匂いがしないのも珍しい。
 しかし、冷蔵庫から食物盗まなかったら何年暮らしてたんでしょうね。


<記録>
押し入れの中に、見ず知らずの女が住み着いていた!? 福岡県警粕屋署は28日、同県志免町の男性(57)宅に忍び込んだとして、住居侵入の現行犯として住所不定、無職堀川タツ子容疑者(58)を逮捕した。押し入れ内の天袋にマットレスを持ち込み、生活までしていたという。

 同署によると、男性は1人暮らし。以前から家の食べ物がたびたびなくなることを不審に思い、人影に反応すると画像が携帯電話にメールで送られる仕組みの警報装置と監視カメラを室内に設置。この日午後2時すぎに外出すると、十数分後に不審者が写った画像を受信した。男性の110番通報で署員が駆け付け、天袋に隠れていた堀川容疑者を発見。午後3時10分ごろ現行犯として逮捕したという。いつから、なぜ住み始めたのか調べている。

=2008/05/29付 西日本新聞朝刊より=


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