「とーきょーだなぁ……」

写真はイメージです

 テレビ局に勤める知人Tと話していたときのこと。
「こないだね、うちでホームパーティしたときさ、メイクの友達が『急だけど、ひとり連れて行ってもいい?』っていうからOKしたら、誰がきたと思う?」
 玄関を開ければそこに「浜崎あゆみ」がいたんだそうだ。Tは予期せぬ自体に狼狽し、瞬間なぜか「シャ、シャンパンないけど大丈夫かなっ!?」と思ってしまったんだとか。なんとなく、わからなくもない。
 彼女、実に気さくでホッとしたそうだ。
「仕事で有名人に会うのは慣れていても、自宅にいきなりって特殊な驚きだった」
 瞬間、素に戻るというか、なんとも不思議な感じを体験したんだそう。うん、まあ浜崎あゆみに限らず、テレビの中の人が突然リアルな存在になるというのは、独得のものじゃないだろうか。二次元でしか知らなかったものが、突如三次元の存在になった戸惑い――なかなか味わえない感覚だろう。


 この話を聞いて私は咄嗟に「とーきょーだなぁー……」と思ってしまった。口ぽっかり開けて「と、とーきょおおー」とアングリするような気持ち。地方に育ったせいもあるだろうが、私は東京に対してどこか、いつまでも憧れがある。小さい頃につちかった先入観、あこがれ、そういったものが心の中でない交ぜになっている。「突然友達が浜崎あゆみをホームパーティに連れてきた」なんといい幻想譚だろう。トーキョー・ファンタジー一条ゆかり描く世界のようだ。そんなことが起こるかもしれない街、東京。自分の身に起こってほしいとは思わないけど、そんなエピソードを東京は発信していてほしいと思う。
 話は変わるようですが、昨日はよくいくバー「P」にて聞いた陰惨なエピソード。そこの常連、Xさんは父親が要介護になった。そうこうするうち、母親も要介護に。頑張って献身的に尽くしていたが、父はアルツハイマーも進行。何が、Xさんの背中を押したのかは分からない。気がついたら、Xさんは両親を殺していた。
「もうすぐ刑は確定するみたい。Xの友達だったZ君から聞いたんだけどね」と、マスター。
 介護や親殺しは東京に限った話ではまったくないけれど、このときも私は瞬間「とーきょーだなあ……」と思ってしまった。大物芸能人と、両親をその手にかけた人。私に「ひとり」おいて、そのどっちとも繋がる。軽くだけど、繋がる。そう思うと、やっぱり私は「とーきょーだなあ……」と呪文のように、つぶやいてしまうのだ。


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