THAT OLD FEELING

こーいうシングルも懐かしい

 不思議な気分。イージーな言い方だけど、心にぽっかり穴が開いたよう。
沈まぬ太陽」を読んでいるあいだ、私は久しぶりに「熱中」という言葉を思い出した。熱中……よく出来た言葉だなあ。熱に浮かされてるんですね。続きが読みたくて仕方なかった、おとといまで。眠気を払ってまでページをめくった、こないだの晩まで。
「完」の文字を目で追ったら、あれ、なんだか激しい喪失感。こんなに心を専有されていたとは。
 またあの熱狂に身を委ねたいような、億劫に思えるような。不思議な気持ちだ。

○行状記
すごく梅雨らしい雨の日。ずっと雨。どこに行く気持ちもすべてなくなる。ビデオで『好色一代男』を観る。増村保造監督、市川雷蔵主演。作品の出来不出来よりもまず、「時代劇」というものは今、完全に死んだのだなあと思う。こんな風に時代物の「らしさ」をわきまえつつ、自由闊達に演技のできる俳優はもういない。歌舞伎でもいないと思う。井原西鶴の原作に遊び、映画演技というものに遊び、この雷蔵のフリーでスカッとした芝居のなんと楽しく、朗らかなことか。今の時代劇は時代劇である必要がないものばかり。「昔はよかったジイサン」になるつもりもないけれど。


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○お知らせ
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