『P.S.アイラヴユー』とベティ・デイヴィス

実は泣きました

 セシリア・アハーンによるヒット小説、その映画化。宣伝文句のひとつがこれです。
「ベストセラー純愛小説を『プラダを着た悪魔』の製作陣×『マディソン郡の橋』の脚本家が完全映画化」
 素晴らしい……これだけで、完ッ璧に映画の感じが表されている。まさに、そのまんま。両作品とも観た人なら、「ああそんな感じか」と一発で分かるんじゃないだろうか。
 最愛の夫を病気で亡くし、悲嘆にくれる妻。ところが、死んだはずの夫から手紙が届く。彼は死の床で何通も手紙を書き、ある人に託していたのだった。「誕生日おめでとう」「そろそろ僕の荷物は捨てること」「旅行に行きなさい」折々、彼の手紙が届いて……という話。

 妻がヒラリー・スワンク。この手の映画って、「見終わった後、主演女優のことを好きになったかどうか」これが成功の決め手だと思う。結果からいうと……めっちゃくちゃ可愛かった! はい、タルいところもバカバカしいところも冗長なところも、かなりあります。けれど、ラブ・ストーリーというのは「これじゃ男も惚れるよなあ!」とヒロインが輝いていれば、それでもうOKだと思う。

 ヒラリー・スワンク、非常にスパイシーな顔なのに、やたらスィートな服が似合うなあ。そして顔筋肉の縦横無尽さ、これが凄い。「クシャおじさん」のように顔をグッチャグチャにして、泣き、怒り、笑う。これがもう、たまらなくキュートなんだわ。かつてジュリア・ロバーツがこの手の顔筋フル活用で可愛さを振りまいていたが、見事二代目襲名。
 夫はジェラルド・バトラー、『300』で王様を演じてた人。甘い役も上手にこなし、芸幅の広さを見せる。脇役が、もうホントに素晴らしい。特にヒラリーの女友達を演じたジーナ・ガーション、リサ・クードローは完璧といえるキャスティング。ジーナ・ガーション、たまに一瞬「鈴木紗里奈」が入る。どうでもいい。以上、感想メモでした。
 あ、今気がつきましたが……これ10月公開でした……。随分早く感想を書いてしまった。すいません。


蛇足的追記、しかしこちらが本当に書きのこしたいこと
 作中、立ち直れず泣き暮らすヒラリーが何度も「ベティ・デイヴィス」の映画を観てるんですね。そしてひとこと、「I can’t be Bette Davis !」と呟くので笑ってしまった。文字通り「私はベティみたいになれないわ!」という意味だが、翻訳では「私は強くなれないわ」みたいに訳されていた。
 日本では映画、それもクラシック・フィルム・ファンしか分からないだろうが、J・L・マンキウィッツ監督の名作『イヴの総て』や『何がジェーンに起こったか?』などで知られるハリウッド往年の大女優。その気の強さが伝説級の女優で、また実際に映画で演じた役も芯の強い女、信念を貫き通す女を多く演じた人。今でも向こうでは「強い女」というと、ベティ・デイヴィスが代名詞になってるんだなあ。

ベティ・デイヴィス。この写真一枚で強い女だったということの見事な証明に。


○記録
朝、豪雨。芝居のような雨。午後、散髪。散髪って死語だが、好きな語感だ。夜、銀座にて『地球でいちばん幸せな場所』の試写。ベトナムを舞台にした映画。胸が痛く、反省させられることしきり。


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