三人の娘

誰もきちんと読んでないが、皆知ってい

 6日の朝日新聞朝刊、文化面になかなか面白い読み物があった。その名も「おやじの話、しちゃおうか」と題された座談会。赤塚不二夫水木しげる、そして手塚治虫、各氏の娘さんが思い出を語られている。キャッチコピーがいーんですよ、三氏の写真にそれぞれ「ゲゲゲの娘・レレレの娘・ラララの娘」とついている。よく思いついたなあ!
(説明不要だとは思うけれど、「ラララの娘」はもちろん「鉄腕アトム」の「空をこえて ラララ星の彼方〜♪」からとられている。念のため)
 これがまあ、いい意味で「あけすけ」。気取らず素直に語られてるのが楽しい。水木しげるさんの次女、悦子さんの言葉が印象的だった。

「私も水木の娘と言われるのが嫌で嫌で……。目に見えない妖怪ばかり描いているから『お前の父さんはうそつきだ』と言われるし」
 私は一度も「ゲゲゲの鬼太郎」に対して、「嘘」と感じたことがなかったから、この発言にはビックリしてしまった。あれを読んで嘘を啓蒙している、などと考える子供がいるのだろうか!? 普通にスーッと水木世界、その妖しい闇とチャームに溢れるセンスを楽しんでいたけれど……。いや、多分「やっかみ」もあったのかもしれない。そういう揶揄をする子供の後ろには、必ず大人の悪意がある。「あんなつくりごと描いてお金がたくさんで、いいわねえ」ぐらいのグチをこぼした母親が、同級生の幾人かにいたのだろう。水木さんの娘と言われるのが嫌で、と仰った悦子さんの子供時代が、少し見えたような気がした。そして悦子さんは、誰がどう見ても水木さんの子と分かるほどに、写真のお顔がそっくりでいらした。
 全部気になるところを書き留めても仕方ない! 最後にグッと「落とし」ますが、「父の素顔」と題されたパート、期待を裏切ることなく赤塚先生がやってくれました。「とにかく自分が遊ぶのに夢中だった人」と赤塚氏の長女、りえ子さんは語り、こんなエピソードを披露。
よく「父が自分の陰部の先っちょに顔を描いて、その子がトンちゃん。で、腹話術で会話するとこ、みんなに見せるんです。(中略)ある日、父に取材の方が来てて、みんながいる前で突然私に、『お前はなぁ、おれのチンポの先から出てきたんだぞ〜!』」水木さんが「酔っ払って?」と聞けば「常に酔っ払ってましたから」
 これが天下の公器、朝日新聞の文化欄に載りました。素晴らしい……「チンポ」が朝日新聞文化欄にお目見えしたのは史上初めてではないでしょうか。赤塚先生はこれだけでも偉大です。「赤塚先生のお人柄をあますところなく表現するには『チンポ』活字化も止むおえず……」そんな文化部デスクの決断がにじみ出ているかのよう。ご丁寧に話し言葉じゃないところが「陰部」になっているのも笑えます。しかし赤塚不二夫、先日のドキュメント番組でも感じたことだが……大きい人だ。何があっても、何をやっても、「これでいいのだ!」という「声」が聞こえてくる。普通なら眉をしかめたり、不快に感じられるようなことでも、ネガティブな気持ちになれない。ならない。徳、としかいいようがない。とても生臭いのだけれど、私は赤塚不二夫という人を思うたび、「僧侶的漫画家」というフレーズが浮かんでならないのだ。


○記録
サミットも最終日ですが、7月に入って街中いたるところに警官がゴーロゴロしていたことを書き留めておきたい。明日からいなくなるのだろうか。そして結構この間の治安というか、犯罪発生率って低いものなんだろうか。地方から警官が来てるというが、その間の地方治安に影響はあるのか。疑問ばかり。本当にどうでもいいが、外に貼っておくと、雨が降ったとき中でアラームが鳴るような機械ってないもんすかね。仕事していると雨の音って聞き逃してしまって、洗濯物がグッチョリになったこと、今期一度ならず。ムキーっ! そうそう、ケン・ローチの新作『この自由な世界で』の試写へ。96分ずっと身につまされっぱなし。余裕のある人が観る映画。その後池尻「おわん」にて食事。本当にいいお店だ。



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○お知らせ
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