「篤姫」雑感その4

日曜は家にいるようになりました

 非情な女だ、田渕久美子というひとは。と、いきなり慣れ慣れしく書いてますが……ご覧になりましたか第27〜28回の「篤姫」を。脚本家・田渕久美子描く喜びと悲しみのジェットコースターに、私の心はグラングラン揺らされてしまった……ああ、しんぼうたまらん! 今日はその辺をメモしておきたい。
 まず、第27回「徳川の妻」。素晴らしかった……。将軍と篤姫の気持ちがやっと真底結ばれる、という回。近頃、あれほどまでに純度の高い愛の光景があっただろうか。人間の最も美しい情動のひとつである「心が解け合う」ということが、見事に表現されていた。将軍と薩摩藩息女、という立場上の関係から、人間同士の結びつきへ。あのときの宮崎あおい篤姫堺雅人=家定は、丸裸の心でぶつかり合い、愛し合っていたと思う。将軍を見つめる篤姫、その瞳の素晴らしさ。熱っぽく、ひたむきで、それでいてどこか母性まで感じさせるような。そして将軍も、心を許し切っている、たまらなく愛おしい、そういう目をしていた。
 古い例えだが、かつて豊臣秀吉の妻を主役に据えた大河ドラマおんな太閤記」のときも、似たようなことがあった。佐久間良子演じる「ねね」と、西田敏行演じる秀吉、この二人の瞳は、演じることを超えて本当に惚れあっていたと思う。こういうときのドラマは、当たる。もう充分な視聴率を得ているドラマだが、さらにこれはヒットする。そう確信した。
 なっ、なのに! 次の回「二つの遺言」で将軍家定がまさかの薨去。早っ! そんなぁ……なんちゅうマッハな展開だろうか、恐るべし田渕久美子。いやあ非情だ。あれだけのいいラブシーンになったからこそ、間を与えずドーンと悲劇へ。効果的なのは分かるが……しかし、思い切りのいいことだ。だがファンとしては、正直もう少しだけでも、幸せな二人を見たかった。


○演技感想追記
松坂慶子演じる幾島だが、この何週間もずーーーっと「姫様ぁ、なんとしても慶喜様を!」ばっかり言わされている。当人もやりにくいだろうが、しかし見事なまでの「押しの一手」だ。私は最近、松坂慶子の登場シーンになると「のこったのこったのこった」という声が聞こえてくる。木村庄之助がいるかのよう。そしてこの松坂慶子の見事な演技的突っ張りに負けてないのが、稲森いずみ。感情的になった松坂にひとこと、「おひかえなされませッ!」と一蹴するシーンは「みもの」であった。なぜか私の脳裏に「暴れ牛とマタドール」というフレーズが浮かんだ。稲森いずみ、どこであんなに存在感がついたのか。私は心から絶賛してしまう。


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