敗戦の日に思う

ムクゲの花

 ちょっとだけ、真面目というか、固い話をメモしておきたい。
 先日TBSの「サンデーモーニング」という番組で、「太平洋戦争をどう思うか」という街頭インタビューをやっていた。そのなかで20代前半の女の人が「正直いって、あまり興味ないんです。知ろうとも思わないのが、実際というか」と答えていた。 だからどう、というのじゃない。こーいう人がいて当然だと思うし、こういった考え方が20代以下のメイン意見だとも、まったく思わない。テレビ的に「使いやすい」、そして古い、いやらしい言葉でいえば、「おいしい」発言だったから、使われたんだと思う。100人中、99人が「大変だったと思います。戦争を二度と起こさない世の中に」と答えても、この手の発言を大きく扱うのがテレビというものだろう。

 私はこの発言を聞きながら、以下のようなことを考えていた。ちょっと支離滅裂だけれど、まま書き残しておく。
 うーん……社会見学じゃないけれど、小学6年生ぐらいで、こんな自由研究をするってのはどうだろう。たとえば自分の住んでる地区で、戦争を実体験として知っている人を探す。そして許可がもらえたら、どんな時代だったのか、そして出来れば、戦場にいかれた方の話を聞く。戦争があった事実を知識としてじゃなく、肌で知ることが、大事なんじゃないかなー、と思うのだ。
 私の小学生時代、「知識」としての戦争情報は豊富にあふれていた。原爆を描いた漫画「はだしのゲン」は図書館でよく借りられていたし、夏になると戦争を描いたドラマや映画がよーく放映されていた。
 けれど、戦争というものを、実際に、身近に感じたのはもっと後だった。
 あるとき、ふと私は「私のおじいさん世代の人が、実際に戦場に行って……敵を、人を殺したんだな」そう考えたことがあった。そのとき、本当に失礼なんだけれど……高校生の私は、ゾッとしてしまった。
 しかし、それは真実なのだ。
 うまく説明できないんだけれど……子供のうちに、10代前半のうちに、そこを知っておくべきなんじゃないだろうか。
 なんだか、全体的な事実として「戦争があった」ことだけ教えるというのは、健全じゃない気がするのだ。戦争はあったけど、実際自分の家族に関係したかもしれない、ってことにはフタをしているような気がする。本人たちにしたら「思い出したくもない」ってものでしょうが、うーん……なんとなくこの「きれいごと」にすぎる感じって、どうなんだろう。
 私たちのおじいさん、ひいおじいさんたちが直面した問題なのだ。そして彼らがいたから、自分がここにいられるのだ。若い世代に教えるのは、そこじゃないだろうか。それらを肌で感じさせなければ、何の意味もないと思う。
 自分の祖父が、人を殺したかもしれない。そう思うのは、嫌なことだろう。けれど、そんな嫌なことを請け負ってくれた世代なのだ。そこを頭だけでなく、実体験として感じることが大事なんじゃないかなあ。多分「興味ない」という発想って、理解はしているけど体感してないからいえてしまうんだと思う。そう、「ひとごと」なんだよね。
 私たちの祖父母の時代、日本人は人を殺した。領地を奪った。
 そこを知らしめる。すると派生的に、いろんなことを知りたくなると思う。その事実がどう発生したのか、そんな「異常」なことが、当時どう思われていたのか……。いや、子供に何もそんな詳しく教えなくともいいだろう、高校生ぐらいになってで充分、と思う人も多いかもしれない。
 けれど、子供というのは、傷つきやすいが、同時に強い。そしてものすごい好奇心と吸収力がある。うん、それに高校生などになってしまうと、自分の利益になることしかやらないもの。大学受験に必要なこと、恋愛、バイト、ほかにいくらでも自発的にやりたいことがあるもの。小学生のうち、というのは利害のない知的好奇心を刺激するのに最適なんだよなあ。
 自分だけの経験でいうけれど、子供のときに蓄積していたものがあるから、高校時代にさらに多くの知識と思考を発展させられたんだと思う。土台は10代前半、15歳ぐらいまでにしか作れないような気が、超個人的な感覚だけど、している。
 あーーーーーーーーーーーーーすっごい話が逸脱している。すいません、子供育てたこともないバカが偉そうに。ただテレビで「戦争事実に興味ない」と答えた女の人について、コメンテーターがあーだこーだ言ってるときに感じたモヤモヤを書き留めたかっただけです。失礼しました。


○記録
 暑い日だった。この日は所用で四谷、新宿と歩いた。1945年の8月15日、この街はいったいどんな様子だったのだろう。話題の「グーグル・マップ」でそういう再現でもしたらどうか。瓦礫からどうやって、一歩ずつ復興したのか。あらゆる写真を活用して、年代別に「グーグル・マップ」で閲覧できる戦後復興・東京地理史。文字と説教を繰返すより、よほど先人の苦労を「おもんばかる」手助けになりそうな気もする。そう、この「おもんばかる」という精神が、多分みんな一番伝えたいことなんじゃないだろうか。


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○お知らせ
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