「悪魔が来たりて笛を吹く」(昭和52年テレビ版)

のってカンガルー

 日産コンパクトカーのCM、「のってカンガルー」ってシリーズ知りません? アニメーションのCMで、縦列駐車とかするやつ。あれ、チビカンガルーの声が「タラちゃん」の声なんですね。それに気がついてからというもの、カンガルーがタラちゃんに見えてしょーがない。しょーもない。そうそう、「サザエさん」といえば穴子さんが、花沢さんのお父さんと同じ声優だってご存知ですか。詳しい友人に聞いてビックリ。ああどうでもいい。今日はビデオの感想メモ。9月もハナから、こんな妖しいものを観てしまいました。雑感だけつらつらと。

悪魔が来たりて笛を吹く」、タイトルがすごい。分けわかんない。なぜ吹くの笛。吹いてどうなるの笛。そして聞いたらどうなるの。欽ちゃんみたいな疑問符がワンサカ。こんな謎めいたタイトル、思いついてみたいなあ。
 タイトルつながりでキャスティングされたわけじゃないでしょうが、草笛光子が出ずっぱり。令嬢がそのまま歳をとったという奥様を演じますが……ちょっとこの作品では優等生に過ぎた。もうすこし「ゆるさ」が欲しいところ。育ちはいいのに体がいうこと聞かないの……みたいな役なんですが、そこを突いてくる二人の男。
 まず兄役の長門裕之。金欲しさに実の妹と関係を持ってしまうという鬼畜の役、これがまあ上手なんてもんじゃない。素ッ晴らしいヒール役者だなあ! エロティックとかセクシーとか、そういうカタカナじゃ決して表せない淫猥さ、これがある。こういうコクが、横溝正史江戸川乱歩に必要なものだと思う。具体的にどう淫猥なのか、書くのは控えるけど。ぜひ本編をご覧下さい。
 そして二人目が観世栄夫。こういう俳優活動をなさってたんですね……リアル。草笛さんを守ろうとする医者の役だが、頑迷な感じが良く出ていた。地なのかも。
 そして忘れ難いのがオカルト・グランダムこと原泉ばあさん。はらせん、と読みます。横溝・江戸川ものだと欠かせない濃厚なキャラクターだ。妄執に生きる女を怪奇色たっぷりに演じさせたら天下一品。私はこの人のダンヴァース夫人、司葉子主演で日本版『レベッカ』が観たかった。
 沖雅也が重要な役で出演。とにかく、その死ばかりがクローズアップされるだけだが、意外と手堅い芝居をしていたのですね。今生きていたらどんな俳優だったろうか。
 そして。誰も賛同してくれないかもだが……若い頃の中山麻里、これが美輪明宏にそっくりでビックリ! いやホントに似てるんだってば、丸山明宏時代の顔だちそのまま。クワッと開いた感じの口、大きく離れた目、夕顔のように白い肌、そして何かが化けてるような感じ、いずれをとっても相似形。

 最後に金田一、邪魔にならない存在感が一番大事なんだなーと実感。だいたいズカズカ人の事情を訊きまくったりするキャラなんだもの、透明性と愛嬌の混在が必要なんですね。古谷一行はチャームが強すぎるきらいもあるが、目立ちすぎない受身の芝居が上手と改めて確認。


○ネタバレ蛇足
そうそう、また加藤嘉が真っ先に死ぬ……。最早これはひとつの法則じゃないだろうか。そしていつものごとく死に顔が巧すぎる。絶対自在に仮死状態になれるに違いない。 

加藤嘉。突然死・毒死・殺害されたら日本一。中でも『八つ墓村』『復讐するは我にあり』の死にっぷりは絶品。山田五十鈴の元夫というのも意表を突く。



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