思わぬ儲けもの!〜明日公開の『プライド』・1

コミックスより


はっきり書きましょう。
ええ、まーーーーーーーーったく期待していませんでした。
今日から公開される『プライド』、一条ゆかりの漫画の映画化です。
さっくり書きましょう。
いやーーー、嬉しい裏切りでした。「思わぬ儲けもの!」などと呟き、
試写室を後にした感想を
ここにお伝えしたいと思います。


○超・定番な設定と展開の数々

1:対立の図式は
富豪の令嬢 vs 極貧の娘


2:対立の設定は
オペラのプリマドンナを目指すふたり
富豪は優等生タイプ、極貧は荒削りでも才能豊か


簡単に表せば、『ガラスの仮面』の姫川亜弓 vs 北島マヤ、なんですね。
このドラマの肝要なところは、極貧の娘の性格設定です。
「ありえないぐらい性格が悪く根性が腐っている」
ここです。ここがポイント。


□□成功ポイント・その1□□


○のしあがるためには手段を選ぶもんですかッ!


ヒロインとなる「貧しい娘」の多くは、逆境に耐え忍ぶ姿で涙を誘うもの。
「負けないわ、きっといつか認めてくれる人がいるはずよ」
シンデレラからはじまり、おしんも皆いつか誰か分かってくれると信じていました。
「そんなもんいねえんだよ」
と、ばかりに本作のヒロイン(貧)、緑川萌は立身出世のために策を弄します。
この策士ぶりがまた的確でスピーディなんだわ。
諸葛孔明が超腹黒いギャルになってしまったかのよう。


もうね、ツーカイですよ。目なんか「ナチュラ呪怨」、イッチャってるもの。
底辺から抜け出すために猪突猛進するその姿は野生的なほど。
いわゆる
「あれはあれで一つ生き方としては立派よね、お友達には絶対になりたくないけど」
とかいわれるタイプの女。一部で評価の高い満島ひかりが立派に演じきってます。


□□成功ポイント・その2


○ハーフの存在感



一条ゆかり描く世界は、「花とフリルとゴージャス」に彩られた絢爛の世界。
蘭が溢れ、ドレスのきぬ擦れの音が響き、シャンデリアのきらめく虚構の世界。
だから、漫画がいいのです。あの世界を映像で説得力をもって酔わせてくれるレベルに
創り上げようとするなら、ヴィスコンティに蘇ってもらってオール外人でやるしかない。


それは無理。でもこの監督は基本的に一条世界に忠実にやりたかったよう。
じゃあどうしたか。
ハーフを使ったんですね。この直球なキャスティングは結構な功を奏しました。


ヒロイン(富)の麻見史緒、歌手のステファニー。
彼女の最大の功績は、その身体といっても過言ではありません。
なんだかやらしいな。いや、そうじゃなくて。


とあるシーンで私はオーバーでなく、驚愕しました。
豪奢なセットに彼女がドレスで佇んでいるところに、
スッともうひとりのヒロイン(貧)が入ってくるんですね。
その瞬間、さっきまで外国のホテルのように思えたバックが
突然「東横イン」にみえる不思議!
洋画のトーンだったのが、いきなり「昼ドラ」に変化する不思議!
絵面(えづら)というものの大事さが身に染みました。
この映画、ステファニーひとりのショットが多いのですが、
一条世界の映画化、その説得力に
彼女の凹凸豊かな白人体型と顔の造形が
相当の「助演」をしています。



ステファニー。映画の中でも脚の長さと真っ直ぐさが驚異的。


(蛇足)
ちなみに、お父さん役がジョン・カビラ
ゴージャス感を更に出すなら、草刈正雄のほうがよかったんじゃないだろーか。
そしてさらに今調べたら、極貧のほうのお嬢さんもクォーターなんだそう。
………………見なかったことにしましょう。


○コテコテ・ベタの醍醐味・1 超加速の転落


さて肝心のストーリー、これはヒジョーにテンポがよかった。
少女漫画というのは「心のゆれ」を独白(モノローグ)でネッチリみせるのが
ひとつ王道パターンなんですが、そんなんじゃ一条漫画の映画になりません。


いざ声楽コンクールの本選に望もうとした瞬間、
極貧娘が最初の毒を吐きます。シャーッ!
「知ってる? あなたのお母さんって、本当はあなたをかばって車に轢かれたのよ」
歌うドコロじゃなくなった豪華娘、気絶して落選。そして1位は貧娘。
失意のうちに豪華娘の父は破産、一文無し。当座のお金もソッコー盗難。
バッグや靴を質に売って生活する日々。ワンルームマンションに引っ越しますが、
「これだけは」と持ってきたのか、チッペンデールっぽい
大きなタンスで部屋半分専有されてます。
この画がまた笑えるんだ。ボロは着てても心は錦、ならぬ、狭い部屋でも心はお姫。


○コテコテ・ベタの醍醐味・2 だって姫だもの救いの手はあまた


「あれ、どうしたの? 君、大丈夫?」
お姫様には当然のように王子様が現れます。
しかも作曲の才能を持つ若き青年と、レコード会社の若社長と二人も。
さらに「純愛は青年と楽しめばいい、僕は君のパトロンとして
才能を応援したいんだ、それには社長夫人として僕のそばにいてくれればいいよ。
君は語学に堪能、容姿端麗、パーティばえも素晴らしいしね……」などと
一般人に相当すると何百万人分の運を足してもたりないほどの
好条件が姫にはドンドコ振ってきます。だって姫だもの。。
それをまた目ざとく貧娘がいちいちチェックするんだ。
「どっ、どーーーーーしてアンタばっかりッ! きーーーーーーーッ!」


しかしすんごい長い文章になっちゃってますね……まだストーリー半分もいってないのに。
この後、古きよき少女漫画らしい紆余曲折がたーーーっぷりあります。
得意の箇条書きにしてみましたが、12ぐらいまでいっても書ききらなかったので
やめました。さほど書く必要もないかと。


○今後の展開


いがみあい→いがみあい→恋心→わかってもらえない→涙→婚約→流血→歌


こんな感じです。おわかりいただけましたでしょうか。
しかし適度なツボをついた作品です。
脇役のキャスティングを見ればそれは一目瞭然。
と、いい加減長すぎます。続きはまた明日……。誰か読むんだろうか……。


15日更新・こちらもよろしく→「私の渡世・食・日記

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