「ガラスの仮面」43巻

定価400円(税別)

 貧乏で吝嗇ゆえなのだけれど、なくなったシャンプーをすぐに捨てられない。すぐに詰め替えられない。くるくるポンプのところを外して、お湯をいれて、振ってまた使っている。
 一度にお湯をいっぱい入れないのが、コツだ。ちょっと入れて、シャカシャカ振って。これで、2〜3度は使える。
 中の水がなくなって、もう一度同じことを繰返す。気合いを入れてシャカシャカ振る。『カクテル』のトム・クルーズをイメージしてシャッカシャカ振る。ほとんどムース状の液体が出てきた。充分汚れが落ちるんだ、これが。
 さすがに3回目には、完全に泡立たなくなってしまった。
 『ガラスの仮面』最新刊を読み終えたとき、この「3回目のシャンプー」をなぜか思い出した。
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ガラスの仮面 43 ふたりの阿古夜 2 (花とゆめCOMICS)

ガラスの仮面 43 ふたりの阿古夜 2 (花とゆめCOMICS)

 うーーん……悪いけど、こーいうものにダメを出せない編集者が悪いと思う。
「そりゃあ出せないっしょー」
「だよねえー」
「美内先生だものー」
「でも売れるんだって、売れれば官軍!」
 こーいうツマラナイ「正論」を知った顔でいう人、多いんだろうなあ。しかし、だからどうした! 私は読み終えて、ショージキに腹が立ったのだ。これほどまでに、なーーーーーーーーーーーーーーーーーーんの進展もないとは! もしかしてこの本は「人間の行動学における『思わせぶり』と『じらし』その方法論と意味」とかいう論文の一部なのだろうか!?
 ページのすべてにデジャヴ感があるというのも、ある意味、すごい。今までは「もはやこれは伝統芸能」「これはもはや特別保護紙媒体」などと軽―く面白がって、今まで与えてくれた熱中を思えば「発刊されるだけで、ありがてえことだ、ありがてえことだ」受け止めていられたのだけれど……なぜか今回はトサカにきてしまった。
 43巻、これすべて「前の単行本のなぞり」といって差し支えないもの。紙とペンを使った「パフォーマー」じゃないか、俳優でも歌手でも漫画家でも、一番「みっともない」のは自分をなぞることだ。そして共同表現者である編集者(裏方だが、編集と漫画家は表裏一体、私はそう思っている。そうじゃない編集者も山ほどいるけれど)が、それを恥ずかしいと思っていない。「玉稿をいただければそれで」という精神が見え隠れする嫌らしさ! 
 そこに一番、カーッといきり立ってしまった。分かっている、青くさい怒りだ。格好のいいものではない。けれど、書かずにはおれなかった。


28日更新・こちらもよろしく→「私の渡世・食・日記

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